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武田薬品の株主総会で噴出、新相談役と外国人経営者への困惑

2017年07月05日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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言葉の壁の問題もあって、「答えになってない答えばかり」と、ある株主は嘆いた Photo by Masataka Tsuchimoto

「納得できる会社側の説明はなかった」(兵庫県の30代男性)

「長谷川氏が残ってもいいが、来年もこんな業績なら責任を取って社長CEO(最高経営責任者)ともども去ってほしい」(京都府の40代男性)

 6月28日に開催された国内製薬最大手、武田薬品工業の定時株主総会。どんよりと曇るこの日の大阪の空のように、会場を後にする株主には煮え切らぬ顔が目立った。

 同社の株総には競合他社が偵察に訪れるほどに注目が集まった。外国人幹部の積極登用、相次ぐ海外大型企業買収など、グローバル企業へとかじ取りした長谷川閑史会長が相談役に退くことに関連し、一部株主から会社側に“けんかを売る”提案があったからだ。

 株主提案の要点の一つはガバナンス強化の観点から原則として相談役を廃止すること。もう一つは業績不振などの責任を取って「あくまでも会長の『解任』を求める」としたこと。社長就任(2003年)以降の長谷川氏の経営を真っ向から否定するものだった。

 提案したのは創業家筋の武田薬品OBら15人。「武田薬品が立ち直る最後の機会だ」と悲壮感を漂わせる訴えだった。

 このうちの1人が会場で「健全なガバナンスに逆行する」「当時の最高責任者の責任を問う。(社長CEOから)たくさんのばら色の報告がありましたが、非常に不健全な財務状態」と非難すると、場内は拍手で沸いた。

 長谷川氏やクリストフ・ウェバー社長CEOは「(相談役になった)旧経営者が大きな影響を及ぼす懸念はない」「最善と考えられる判断を行ってきており解任すべき理由はない」など、株主へ郵送した手紙や自社ホームページで既報した内容を繰り返した。

 株主提案はいずれも反対多数で否決された。それでも創業家筋のある株主は「例年より危機意識を感じさせる株主質問が多かった」と振り返った。

株主は哀愁より困惑

 この日が経営者として最後の晴れ舞台となる長谷川氏は終盤、「社長、会長を通して通算14年間、自分なりにベストを尽くし、任務を全うしました。タケダの将来につきましてはウェバー社長CEOのリーダーシップで必ずや再び力強い成長を遂げてくれると確信しています」と哀愁をにじませた。

 かつて長谷川氏の次の社長とうわさされた日本人取締役もこの日で退任した。代わりに外国人CFO(最高財務責任者)が取締役に就任し、社内取締役4人のうち3人が外国人となった。

「外国人勢が続投して良い方向に向かうのか不安だが、短期的な成果を無理やり作ってさっさと辞められたら、それもまた悔しい」──。長谷川氏が道筋をつけたグローバル企業「TAKEDA」の外国人経営に、株主は困惑を隠せないでいる。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 土本匡孝)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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