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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情第403回

業界に痕跡を残して消えたメーカー メモリー領域確保で世話になった「QEMM」のQuarterDeck

2017年04月17日 11時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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 今回の業界に痕跡を残して消えたメーカーはQuarterDeckを紹介する。いったいどういう基準で会社を選んでいるんだ? と聞かれたのでお答えすると、筆者の個人的な思い入れの部分が少なからず絡んでいる。QuarterDeckは、それはもう大変にお世話になったので、今回はここを取り上げたい。

メモリー管理ツール「Desq」

オフィス関連の謎の企業が
複数のアプリを同時に稼働させるツールを開発

 QuarterDeck Office Systems、後にはQuarterDeck Corporationと名前を変えたが、ここは1982年に創業(立ち上げたのは1981年、会社組織化したのが1982年)された。

 創業者はTherese Myers氏とGary Pope氏の2人。Myers氏の方はArthur Young & Co.という有名な会計事務所に勤務、次いでLexarの副社長を経て、QuarterDeckを立ち上げる。

 ちなみにLexarは現在でこそメモリー関連製品を扱うメーカーになっているが、当時(Myers氏は1974年に参加)は非常に初期のネットワークシステムを搭載したオフィス向けコンピューターの開発を手がけていた。1981年にLexarを抜け、QuarterDeck Office Systemsを創業するにあたり、彼女はCEOとCFO、COOを兼任し、1994年までこれは続くことになる。

 というわけで、会社経営をMyers氏が引き受けた一方で、エンジニアリング担当上級副社長兼チーフプログラマーとして、開発を一手に引き受けたのがPope氏である。

 そのQuarterDeckの最初の製品がなんだったのか、というのは今回もいろいろ調べてみたもののわからなかった。ただ社名の“QuarterDeck Office System”という名前の通り、同社は「オフィス環境を改善する」ことを主眼にした製品展開を考えていた。これはMyers氏の前職の経験からのものだろう。

 ただオフィス環境といっても、物理的なオフィス環境を改善するわけではなく(それはOffice Depotの仕事である)、オフィスで利用されるPCの環境を改善しましょう、という話である。

 こうした目的のもと、1984年に同社が発表したツールがDesqである。Deskは要するにGUIをベースにしたマルチタスクの動作環境であり、複数のアプリケーションを同時に稼動させるためのツールである。

PC MagazineによるDesqのレビュー。まだスクリーンキャプチャーがない時代なので、画面をカメラで撮影してる関係で画面が樽型に歪んでいるのはご愛嬌

 画面写真では、左上にdBASE IIが、右にWordstarが動き、左下にはおそらくビジネスアプリケーションらしきものが動作している。それとは別に、Notepadがポップアップで立ち上がっているのが確認できる。

 当時から、MS-DOS上で複数のアプリケーションを同時に使いたい、というニーズそのものは少なくなかった。これを実現するためのユーティリティーやツールが出始めたのが1984年という時期であるが、そうしたものの1つがDesqという形になる。

 ちなみにこうしたマルチタスクの必要性は、IBM-PCの開発元であったIBM自身も感じており、それもあってマイクロソフトではなくIBM自身が開発したのがTopViewというソフトウェアであった。

 もっともこのTopView、提供される機能に比して要求されるリソースが多すぎ、1985年の出荷後2年で製品打ち切りになっている。またMacintoshの世界でも、有名なSwitcherというタスク切り替えソフトが、やっぱり1984年に初登場していた記憶がある。

 さて、Desqが優れていたのは実際に画面をマルチタスクのごとく同時に複数画面表示が可能であり、メモリーも512KBのフリーエリアがあれば動作するという話だったが、この512KBというのは本当に必要最小限であり、実際はこれではDesqは動作してもアプリケーションがメモリー不足で動かないという話もしばしばあった。

 これはMS-DOSが640KBしかプログラムにメモリーを提供しない、という制限が諸悪の根源だったわけだが、その制限を緩和すべくいろいろな方策が考え出されており、QuarterDeckもこうした方面の製品を投入し始める。

 おりしも1984年といえば、80286を搭載したIBM-PC/ATが発売された年でもあり、そして80286は初代IBM-PCに搭載された8088に比べて、格段に強化されたメモリーアクセス機能やマルチタスク機能を搭載していた。

 こうした機能を生かした形で発売されたのがDESQviewであり、後に80386にフル対応したDESQview 386に進化する。このDESQview/DESQview 386のためのメモリー管理ツールとしてまず投入され、後に単体製品をして爆発的な売上げを記録したのが、QEMM(QuarterDeck Expanded Memory Manager)であった。

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