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レオパレス21を訴えた賃貸オーナー129人が怒る理由

2017年03月28日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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管理戸数約57万戸、賃貸オーナー数約2万7000人を誇る、賃貸不動産大手のレオパレス21。2008年のリーマンショックで一時は経営難に陥ったが、その後は業績も回復し、再び存在感を強めている。そんな同社に怒りの声を上げるオーナーらが二つの裁判を起こした。いったい何が起こっているのか。(「週刊ダイヤモンド」委嘱記者 大根田康介)

LPオーナー会(愛知県名古屋市)から二つの裁判を起こされたレオパレス21 Photo by Kosuke Oneda

 3月14日、名古屋地方裁判所で行われたある裁判には30人近い傍聴人が列席し、法廷は緊張感に包まれていた。

 その裁判とは、昨年11月25日付で提起された、賃貸不動産大手のレオパレス21が展開する「家具・家電総合メンテナンスサービス」にまつわる集団訴訟だ。

 原告は物件のオーナー129人。中心となるのは、代表の前田和彦氏が愛知県名古屋市で2014年1月に設立した「LPオーナー会」。元はレオパレスの信奉者だったという前田氏は、「同社は契約を軽視している。家具・家電メンテナンスが適正ではなく、やらずぼったくりだ」と憤りを隠さない。

 なぜ、ここまで両者の関係がこじれたのか。経緯を説明しよう。

 同社のメーン事業はワンルームアパートの賃貸管理だ。富裕層や高齢者がオーナーとなり、相続税対策で建てるケースが多い。同社が建物を30年一括借り上げするサブリース契約を結ぶことで、オーナーは空室でも一定の家賃収入を保証される仕組みである。

 そんな同社の売りの一つが、ベッド、机などの家具や、テレビなどの家電が初めから備え付けられていることだ。テレビCMなどでも、学生や単身赴任者などの入居に便利だと盛んに訴求している。

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 実はこの家具や家電は、図のように、原契約ではオーナーが所有し、レオパレスが修繕などの「保守業務」を行う。そして新築から7年経過後は所有権がオーナーからレオパレスに移り、「レンタル業務」として引き続きメンテナンスを行うというものだ。

 これが「家具・家電総合メンテナンスサービス」と呼ばれるもので、オーナーはレンタル業務に対し、1戸当たり月2000円、仮に30戸なら年間72万円のサービス料を同社に支払っている。

 ところがだ。前田氏は、半年に1回手元に届くメンテナンス報告書を見て、7年たっても新品に交換されていない家具・家電の存在に気が付いた。

 新品の家具や家電の方が入居者への訴求力が高いことは、言うまでもない。ましてや、新品に交換されていないにもかかわらず、サービス料はしっかりと家賃から天引きされているというのだ。

 これでは、オーナー側が怒るのも無理はない。そこで、14年8月から15年4月にかけて家具・家電の入れ替えを何度か掛け合ったが、折り合いがつかず、家賃から天引きされたサービス料を未払い賃料として約4億8684万円の返還を請求するという裁判を「やむなく起こすに至った」という。

 対するレオパレスの宮尾文也取締役執行役員は、「原契約が実態に合わなくなった。特に家具は造り付けのパターンが増え、7年たっても入居者がいると入れ替えできなかった」と説明する。

 そのため同社は、15年10月8日付でサービス内容を変更し、変更合意書を作った。だが、これがさらなる波紋を呼ぶ。

家賃減額分の支払いを求める
裁判も起こされる

1枚の変更合意書の存在が裁判の火種に(写真は変更箇所説明書)

 変更合意書によれば、当初ひとくくりだった家具・家電を、家具と家電で業務を分け、家具は保守業務に統一し一括借り上げ契約期間中はオーナー所有として扱う。

 宮尾氏は「どちらでもオーナーの負担費用は変わらない。戸別訪問し、9割以上の方に了承していただいた」と言う。一方の前田氏は、「この変更はわれわれとの話し合いが解決していない中でなされて不自然。中身を理解しないまま合意書に押印した人もいるはず。またオーナーに所有権があると、減価償却処理で除却処理ができず税務上支障を来す」と訴える。

 両者の主張が平行線をたどる中、今年2月22日に愛知県の男性が、同社を相手取り裁判を起こした。

 この男性は20戸のアパートを建て、05年1月に同社とサブリース契約を結んだ。契約書には「家賃は当初10年間は不変」との記載があったにもかかわらず、08年のリーマンショックで同社の経営が悪化した際に、10年未満で家賃減額を求められたという。

 そこでLPオーナー会が特別部会を立ち上げ、簡易裁判所の調停で解決を目指したが、折り合いがつかず、同部会代表者が訴訟に踏み切った。今回の請求金額は約81万円だが、同じ境遇のオーナーが他に100人以上おり、こちらも集団訴訟になりそうだ。

 この件について前田氏は、「同社から倒産するかもしれないと言われて、情けで合意したオーナーも多い。業績が回復したのに家賃が回復しないのは解せない」と話す。一方の宮尾氏は、「家賃相場が回復していない地域もある。外部から入手した客観的データも使い、適正な家賃交渉をしている」と正当性を主張する。

 この二つの裁判を同社はどう乗り切るのか。賃貸不動産業界に及ぼす影響も含めて注目される。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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