このページの本文へ

前へ 1 2 3 次へ

ASCII STARTUP 今週のイチオシ!第46回

無意識に老後のためのお金を増やしてくれるFintech

「お金を増やすサービス」のあるべき姿 将来不安の解消目指すWealthNavi

2016年12月23日 15時00分更新

文● 久我吉史 聞き手・編集●北島幹雄/ASCII STARTUP 撮影●曽根田元

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 テクノロジーを使ってお金をいかに増やせるか、資産形成できるか。と聞くと株やFXの自動売買がまず思い浮かぶ。だが、より学術的な要素を織り交ぜ、高度なテクノロジーを使い、自動売買よりも賢い仕組みを作る動きがある。それこそが、Fintech(フィンテック)の「資産運用」領域である。中でも頭角を表してきているスタートアップが、『WealthNavi』を運営するウェルスナビ株式会社だ。

 「ロボアドバイザー×国際分散投資」と銘打ち、中長期での資産形成をサポートしてくれるサービスを提供している。老後の年金に不安を感じる人が多い一方で、家計資産の50%以上を現金・預金として保有しているのが日本人の特徴だ。資産を形成しようにも、形成のための取り組み自体ができていない国内の現状に切り込み、中長期での資産形成を誰でも安心してできるサービスを目指す。

 同社はすでに、金融商品取引に関わる免許取得や登録をすべて済ませているため、金融機関の業務効率化を目指すようなITツール主体のフィンテック企業ではないことに注目したい。メディアなどでの打ち出され方も「ロボアドバイザー」となっているため、投資アドバイスのためのツールを作っていると思うかもしれないがそれは間違いである。ビジネスのコアには、金融領域で培ったノウハウが凝縮されており、それをITで具現化しサービスを提供している。

 2016年10月にはSBIホールディングスなどから約15億円の資金調達を発表し、2017年上期には「おつり」に注目した新しいサービスを提供する予定の同社が目指す「資産運用」のサービスとは何か。柴山和久代表に聞いてみた。

ウェルスナビ株式会社の柴山和久代表取締役

ただのロボアドバイザーではない
WealthNaviの提供サービス

 ウェルスナビで検索すると「ロボアドバイザー」とか、「国際分散投資」などというキーワードが目に入る。「投資に関するアドバイスをしてくれる。しかも日本だけではなく、世界の株に投資できそう」と思ったら半分正解だ。

 もう半分の正解を知るためには、「投資に関するアドバイス」という部分が重要だ。アドバイスというと、「この株が買いだ!」「この株はそろそろ売らないとまずい!」というような、取引に関するアドバイスを思い浮かべてしまうが、ウェルスナビが提供しているのは「ポートフォリオ」という指標だ。もともとポートフォリオは、画家などが自分の作品を並べて展示する「ポートフォリオ」と同じ意味。投資対象となる株や金融商品の中から、自分の好みにあっているものを自動で選んでくれる(=ロボアドバイザー)。

 「自分の好み」というのは、「大きく損するリスクを抱えてもいいから大きく儲けてみたい」、「手堅く少しずつ増やせればいい」といった投資に対する好みのことで、「リスク許容度」と言ったりする。

WealthNaviがリスク許容度を無料で診断し、提案してくれるポートフォリオの例。資産クラスが投資対象となる金融商品で、日本や欧州、新興国、米国といった世界中の国々が並んでいる。

 ここで投資における「リスク」というキーワードの誤解を解いておこう。「リスク」というとネガティブな危険度の事を思い浮かべないだろうか。しかし、投資においてはプラスに増えることもリスクとして考えてよい。

 データや確率変数のばらつきを示す「標準偏差」という言葉を聞いたことがないだろうか。標準偏差を株価で例えるなら、一定の期間で上下する価格の上限と下限の幅を数値で表したものとなる。これを統計学では「σ」(シグマ)という記号を使って表す。

 普通、標準偏差は「%」を使って表すので、σ=5%という表記がなされる。この場合は、株価がプラスマイナス5%の範囲で変動するという意味になる。したがって、プラスマイナスになるのだから、その変動の幅自体がリスクといえる。

 このリスクは、ポートフォリオの組み合わせによって値が異なり、ポートフォリオの中の投資商品数が多いほど、統計的にはリスク値が小さくなることが知られている。投資を行うユーザーの好み(WealthNaviの場合は質問結果)から最適なポートフォリオを選んでくれる部分が、「ロボアドバイザー」なのだ。

 ちなみに、リスクに対して言われる「リターン」も一定期間経過後に得られた収入または損失の結果なので、こちらもプラスマイナスの振れ幅がある。

WealthNaviの無料診断で聞かれる質問例。シンプルな質問からリスク許容度を分析してくれる。

 さらに重要な点として、WealthNaviでは、ポートフォリオ提案に使う金融商品に米国で上場している「ETF」(Exchange Traded Funds)を用いている。ETFは、「複数の株に投資をする運用会社が発行している証券」のこと。ETF自体が、世界中で発行されている複数の株でポートフォリオを作っているので、おのずと国際分散投資が実現できるわけである。さらにWealthNaviでは、提案したポートフォリオに対する取引を自動発注するサービスや、一定期間後にポートフォリオを見直すサービス(「リバランス」という)、取引で得た利益に対する税金を最適化する「DeTAX」などのサービスを提供している。

 露骨な言い方をすれば、最先端の金融の仕組みやIT技術を総合的に使った「お金を預けておくと勝手に増やしてくれるサービス」だといえる。

前へ 1 2 3 次へ


この連載の記事
最新記事
  • アスキー・メディアワークス
  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード
  • アスキーの本と雑誌
  • 電撃オンライン - 電撃の総合ゲーム情報&雑誌情報サイト!
  • 電撃ホビーWEB - 電撃のホビー雑誌・書籍&ホビーニュースサイト
  • 電撃文庫 - 電撃文庫&電撃文庫MAGAZINEの公式サイト
  • 電撃屋.com - 電撃のアイテムを集めた公式ショッピングサイト!
ピックアップ