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地方コミュニティの悲喜こもごも満載の座談会を完全レポート

秋田の東北IT物産展で聞いた北東北コミュニティの生の声

2016年09月30日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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雪で来られない、若手が来ない

オオタニ:最後に課題感と今後やりたいことを聞きたいなということをお聞きします。

最終セッションということで、多くの参加者が集まった

阿部:課題は継続と人ですかね。特にWordBenchは、ゆるくやるというよりは、40分くらいのバッチリ作っていくので、プレゼンする側のハードルも高めになるので。

大三:東北でも首都圏の情報を仕入れられる仕組みがあるといいなと思います。独身の頃は東京や仙台のコミュニティに参加して、それを地元で展開していたので、すごく喜ばれました。情報の価値がきちんと認められるんですよね。

オオタニ:大三さんから見て東北の課題ってなにかありますか?

大三:課題は、やはり東北の雪ですね。雪が来ると勉強会に来られなくなります。でも、JAGAの場合は、1回来たことがある人は、Hangoutを使って勉強会に参加できます。東北は参加者が少ないので、オンラインでやって結びつきを深めたいですね。

那須:先日、青森で勉強会に行った時に出た話ですが、今って場所や時間にとらわれない時代じゃないですか。特にここに来ている人は、企業にもとらわれていない。こんな時代なので、場所をおさえて、人を集めて、イベントやること自体に意味があるのかとちょっと考えてしまうんです。

オオタニ:リアルなイベントじゃなくてもいいんではないかと。

那須:うん。イベントに行かないと情報を得られないと考えている人をどうやってフォローするか。われわれはITの力を信じてやっているので、Skypeでも、Hangoutでも、使えばいいし、たとえばnoteのようなサービスに議事録を書いていてもいい。参加者は資料を見たいのではなく、資料に合わせた講演の音声が欲しいのかもしれない。だったら、スライドといっしょに音声を流せるサービスを使ってもいいかもしれない。実はいろいろなやり方があるんじゃないかと最近話すことが多いです。

オオタニ:今日のイベントでリモートワークに関する講演をしてくれた倉貫さんのように「会社行かないと仕事できない」という常識を打破して、始めてITの使い所をきちんと考えますよね。

那須:先ほど阿部さんが話していた「みんな忙しい」という問題すら解決できるかもしれないですよね。

オオタニ:非同期のイベントもあり得るということですよね。佐々木さんは課題とかありますか?

佐々木:うちの岩手×IT×わかては毎年1回だけ集まって呑むというイベントなんですが、おかげさまで人数という意味では想定を越えて100名近く集まってくれてます。ただ、課題はホントの若手が来ないんですよ。

「ホントの若手が来ない」と嘆く岩手×IT×わかての佐々木さん

一堂:(笑)

佐々木:IT企業に限らず、20代の若手って、休みの日に仕事以外のことを考えたいんですよ。だから、自ら行動を起こしたがる人って、30代以上になるんです。僕は32歳なのですが、先日は最高齢で72歳が来たんです(笑)。こんな感じなので、もっと20代を巻き込みたいなというのが課題ですね。現状は、個人をピンポイントで呼ぶしか方策がないです。

オオタニ:意図したわけではないですが、私の手元側にいる3人がちょっとお年を召していますが(笑)、なにかアドバイスありますか?

那須:マイクロソフトの話になってしまうのですが、スチューデントMVPという制度がああります。けっこうな影響力を持っているので、こういう人たちを介すると、いい感じで学生をゲットできます。

大三:私の場合は、大学のイベントに乗り込んで、直接狩りに行きます(笑)。10人名刺渡していれば、1人くらい来てくれるという感じですが、コミュニティに興味を持っている人は必ずいるはずなので、積極的にアプローチしてみるといいと思います。

オオタニ:那須さんはポケモンGOで、大三さんはモンハンですね(笑)。

関:岩手も、秋田も酒所なので、イベントってお祭り。むしろ呑むのが目的くらいです。でも、呑み会スタイルにしちゃうと、学生さんとかは来られないので、ノンアルで盛り上がっていこうという試みはやってますね。

横山:逆に私は若手の立場から。私は最初に勉強会行ったのは、秋田で勉強会ないかなと思ってネットで調べたら、DoorkeeperでRubyの勉強会が見つかったから。デジタルネイティブな若手は、ネットを駆使するので、Webに気を遣ってみるというのは1つあると思います。

那須:おっさんとして質問していいですか? みなさん勉強会ってどうやって見つけたんですか? というのも、先ほど会場でおばちゃんから「これってなんのイベント?」と聞かれたので、「ITの勉強会だよ」って答えたら、「もっときちんと告知すればいいのに」と言われたんです。だから、告知が足りないのかなあと。

横山:私たちは知ってるんですよ。東京や大阪で勉強会をいっぱいやっていることはFacebookやTwitterで知っているので、あとは秋田で同じようなのやっているかはDoorkeeperだったり、.dotsを調べればいい。だから、そういったところにイベント載せておいてくれれば、見つけますよ。

イベントの情報は実はけっこう知っているという若手代表の横山さん

那須:学校にいる隣の人も同じなんですか?

オオタニ:横山さんが特殊だという話もありますよね(笑)。Twitterでイベント行く人多いとは聞きますよね。あと、おばさんとかだったら、どストレートに回覧板で回しちゃうとか(笑)。

那須:アナログ最高ですね。

コミュニティに参加するともっと楽しい生活が待っている

オオタニ:今回は地方の課題が聞けて、とても楽しかったです。では、時間も来たので、最後一言ずつお願いします。

大三:今日、ここに集まってくれた方は、みなさんアンテナの感度がいい方々だと思います。コミュニティに簡単に踏み入れられるし、自らコミュニティを作れると、もっと楽しい生活が待ってると思います。

横山:1日いろんなセッション聞けて、本当に楽しかったです。ありがとうございました。

関:次の回から使いたいテクニックがいっぱいありました。さっそく試してみたいと思います。

佐々木:今後、北東北って人口が減っていくんですが、こうした中で個の力をどんどん上げていきたいと思っています。でも、それを意識付けするのは、自分自身。自分からそういう場所を作っていき、「熱しやすく冷めやすい」ではなく、熱し続ける覚悟を持ってやりたいと思いますので、よろしくお願いします。

阿部:自分でコミュニティを作って得られるものが多かった。参加するより、自分でコミュニティを作った方が、はるかに得るものが大きい。感覚値で100倍とか、1000倍大きいと思います。でも、イチから立ち上げるのはそれなりに大変なので、まずは勉強会を探してもらいたいと思います。

オオタニ:そうですよね。すでにコミュニティのノウハウはいっぱいあるので、そこからいろいろ学べますよね。では、最後那須さん締めをお願いします。

那須:今日はみなさん遅い時間まで参加していただいてありがとうございました。自らの時間を割いてきてくれた方に、スタッフ全員でありがとうを言いたいと思います。

コミュニティの魅力について締める那須さん

コミュニティに関しては、参加してほしいという気持ちはあるものの、無理をしてほしくないのも本音です。無理をして行っても面白くないし、苦痛になってしまう。だったら、辞めた方がよい。でも、参加したら、面白くて、文系なのにエンジニアになった人だっていっぱいいます。知らない世界に一歩踏み出すのはすごくいいこと。あなたの10年後、20年後にとって大きな影響を与えてくれるかもしれないので、ぜひあなたの友達をイベントにお誘いしてみてください。

オオタニ:はい。みなさん、本日はありがとうございました!

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