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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第371回

Kabylakeの本命は来年末投入の14+プロセス版 インテル CPUロードマップ

2016年08月29日 11時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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2015年~2017年のインテルCPUのロードマップ

LGA 2061のBasin Fallsは
Skylake-XとKabylake-Xの2つが混在

 話をロードマップに戻すが、正直来年いっぱいは、ことデスクトップに関してはKabylakeのままで推移するだろう。10nmプロセスが予定通り出てくれば、モバイル向けはCannon Lakeに移行するかもしれないが、デスクトップ向けは2018年まで見送りとなるだろう。万が一、10nmが遅れるようであれば、もう一世代14nmプロセスの製品が入る可能性すらある。この場合は、14+を使った製品になると思われる。

 ただ、ここから漏れるのがハイエンド、つまりCore i7 Extreme向けである。こちらは無事Broadwell-Eの出荷が始まっており、次はSkylake-Eベースなのだが、この世代からインテルはCore i7 Extreme向け(このブランドがそのまま維持されるのか、名前が変わるのかも現時点では定かではない)に新しくLGA 2061のパッケージを導入する。

 前回も触れたBasin Fallsである。おもしろいのは、このBasin Falls向けの製品は、Skylake-EP(Xeon向け)のダイを利用したSkylake-Xと、Kabylakeのダイを利用したKabylake-Xの2つが混在することだ(前回の記事執筆時点では、両者が別のプラットフォームになると思っていた)。

 そもそもなぜ新プラットフォームを導入するのか? 従来Extreme向けはXeonと同じプラットフォームを使うことになっていた。これは最初の製品であるPentium 4 Extreme EditionがXeon(Fosterコア)をそのまま流用したことから来ている。

 ただインテルはSkylake-EP/EX世代で、2P/4P/8Pが同じ構成となるPurley Platformを導入する予定だが、さすがにこれはExtreme向けには過剰すぎると判断されたようだ。そこで、現在のLGA2011-3の延長にあるような新しいパッケージを用意することにしたらしい。

 このBasin Fallsであるが、ハイエンドデスクトップとワークステーションをカバーするもので、構成は前回紹介したとおり、4chのDDR4メモリー(DDR4-2677まで対応:RDIMMやLRDIMMもサポート)と、最大x48(x16が3組)のPCI Express 3.0をCPU側から出し、チップセットはKabylake PCH(つまりIntel 200シリーズ)をそのまま使う形となる。

 コアはSkylake-EPのうちLCC(Low Core Count)構成のものを流用し、6/8/10コアがラインナップされるようだ(18コア製品はさすがにないらしい)。こちらのTDPは140Wである。

 これとは別に、同じくLGA 2061ながら、Kabylakeのコアを流用したKabylake-Xと呼ばれるものも同時にラインナップされる。こちらは4コアのみで、TDPは112Wとされる。

 ここで疑問になるのはPCI Expressとメモリーコントローラーである。KabylakeはPCI Expressはx16(x16、またはx8+x8)しかないし、DDR4は2chである。ここで可能性があるのは以下の2つである。

  • Skylake-Xでは3×PCI Express x16と4ch DDR4がフルに利用できるが、Kabylake-XではPCI Expressはx16が1つのみ有効。また4ch DDR4のうち有効なのは2chのみ。
  • Skylake-XとKabylake-Xはどちらも3×PCI Express x16と4ch DDR4がフルに利用できる。

 前者では、Kabylake-XはKabylakeそのままのダイで、単に内蔵GPUを無効化し、動作周波数を若干引き上げた(その分TDPも増えた)ものになる。

 後者であればKabylakeのPCI Expressとメモリーコントローラーを再設計(Skylake-EPのものを流用?)し、かつGPUを抜いた新しいダイが投入されることになる。

 今のところどちらになるのか、はっきりしていないが、もし後者だとすればこの際にプロセスを14nmではなく14+に切り替えてくるというシナリオは、いかにもありそうに思える。

 以前の計画ではKabylakeはそのままという話だったのだが、AMDがZenベースのSummit Ridgeを投入してくることを考えると、もう少し性能マージンを取っておきたいとインテルが考えるのは不思議ではない。

 そうした際には「使える武器は全部使う」というインテルのポリシーからして、14+を使ったダイが出てきても不思議ではない。

 もっともインテルの10nmが順調なら、無理に14+を使わなくても10nm製品を早期に投入して差別化を図ることも理論上は可能なので、このあたりは10nmの進捗次第というべきか。

 余談ながら、現在AMDがZenを生産しているGlobalFoundriesは、10nm世代はスキップして次は7nmに向かう予定となっている。

 ということは逆説的に言えばZenや、その後継のZen+は14nmのまま長く生産されることになるわけで、インテルが10nmの早期移行に失敗した場合は、久しぶりに同じプロセスノード同士での製品の殴り合いが続く、というおもしろい事態になりそうだ。

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