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5000円で恐ろしい低音の英メーカーのイヤフォン「S500」に感じる意外性

2016年08月21日 12時00分更新

文● 四本淑三

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意外性がユーザーのこころをくすぐる

 小口径でハウジングが小さく軽いという点は、装着快適性にも寄与します。着脱がイージーで、装着感も軽い。実際、カジュアルユースに向いた製品です。ケーブルは、プラグからY字分岐部までがファプリッククロスに覆われ、それ以降が熱可塑性エラストマー被覆という最近流行りのパターン。この取り合わせは収納時にケーブルが絡みにくく、カバンやポケットから取り出して、すぐ使えるのがいいところ。

 ただセッティングによって低域の出方がかなり変わる方なので、イヤーチップはシビアに選びたいところ。付属のイヤーチップはいずれもシリコン製で、サイズと深さの違いで6ペア、そして遮音性の高いダブルフランジ型も1ペア付属します。

付属品はイヤーチップの他、メッシュの巾着型キャリーポーチと、ロゴ入りケーブルクリップ

特許出願中というイヤーチップホルダー

 3年間の保証付きという点で、メーカーも長く使われることを考えているのでしょう。手軽に買える価格帯の製品ではあっても「◯◯のように見えて実際は◯◯」という意外性は、購入に至るストーリーや、その後モノに感じる愛着の点で、ユーザーの感情の重要なところを占めるはずです。イヤフォンだったら、ドライバーやサイズのようなスペック、そしてなにより音。

 実売5000円台の価格帯は、有名メーカーのOEMと、そうした製品の生産・開発拠点として力をつけてきた中国や台湾に押されている印象ですが、その中でもS500は、独自の強い存在感を持つモデルです。というよりも、そうでなければこのレンジでは生き残っていけない。ならば、どこで消費者に選んでもらえるフックになるか。それを相当に考え抜いた製品のように感じました。



著者紹介――四本 淑三(よつもと としみ)

 1963年生れ。フリーライター。武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師。新しい音楽は新しい技術が連れてくるという信条のもと、テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレとエスプレッソ

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