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5000円で恐ろしい低音の英メーカーのイヤフォン「S500」に感じる意外性

2016年08月21日 12時00分更新

文● 四本淑三

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想像を超える低域の重心の低さ

 ダイナミック型とはいえ、まず中高域の解像感はバランスド・アーマチュア型のドライバーに負けていません。このへんはサイズから想像できる点で、このモデルの美点でもあります。ダイナミックレンジの広い音源では、ピアニシモのパートでは、もうちょっとハイエンドが伸びるとエア感が出ていいかな、と思える場面もありますが、それは5000円台のイヤフォンに求めることではありません。

 と同時に、低域の重心点がかなり低く、バランスド・アーマチュアのような線の細さを感じないのが、恐るべきところ。小口径で中高域の解像感を狙っただけのものではないということ。もちろん、無理やり低域のレゾナンスを膨らませたような、この価格帯のカナル型にありがちなバランスの悪さはありません。

ダイナミック型ゆえ負圧を抜くチューニングホールも存在。ハウジング下向きに空いており、音漏れはさほど気にならない

 無論、空気が揺れ動くようなローエンドの余裕は、大口径のダイナミック型には敵いません。しかし、追従性が良くタイトなところは、むしろ口径の大きなダイナミック型より好みという方も、おそらくいらっしゃるでしょう。実際テンポの速い、ビートのアタックがはっきりした音楽との相性は、かなり良いと思います。

 ちなみに、フェンダーに買収される以前のオーリソニックスに「ROCKETS」という口径5.1mmのダイナミック型を使ったカナル型イヤフォンがありました。小型のハウジングと、中高域の高い解像感と低域の量感が両立している点でも、S500のイメージに近い。ただ、ROCLETSには、2万円台半ばという相応の価格が付いていました。

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