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TBSのベンチャー支援が起こす若手社員の化学反応

連載
大手に訊くスタートアップ支援の狙い

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若手社員の間に化学反応を起こす

 一方、TBSグループ内に目を向けると、片岡氏らの活動に刺激を受け、自発的に同氏のもとにベンチャーの起業家達との交流を希望してくる社員も増えているという。

「若手の社員が多いですね。彼らが起業家と話をしたり、一緒に何かを企画するような場を設けると、凄く目が輝いて、熱心に取り組んでくれます」(片岡氏)

 これまでも、少しでも多くの社員に“火をつける”べく、ベンチャーピッチ的なイベントを社内で実施してきた。つい最近始めたのが、ベンチャー投資だけではなく、VRやAR、ドローン、AIなど、多くの社員が興味を抱いており、またビジネスとして将来性が高く、しかし今ひとつわかりづらいテーマを共有するイベントだ。初回となったVRとドローンをテーマにしたイベントには、口コミだけでグループ会社を含め120人ほどが参加。そのうち半分は、20代~30代の社員だった。

「これから半年ぐらいイベントを実施していくうちに、社員の間に化学反応が起きるのではと期待しています」と片岡氏。

 TBSにおける自身の立ち位置を、起業家的なマインドで新しいアイデアを出したり、社内を動かしていく“イントレプレナー”(社内起業家)だとする片岡氏。同氏はこれからも、若い社員のアイデアを吸い上げるとともに、自身もまた積極的にベンチャーと関わり、また新たな提案を続けていく構えだ。

「変化の激しい今の社会では、大きな絵を描き時間をかけて実現していくというアプローチというのはもはや現実的ではないでしょう。既存の優位性があっという間に消えてしまうビジネス環境のなか、我々としても少しずつ方向性を変えながらチャレンジを繰り返していくのが効果的だと考えています」と語る片岡氏。

 TBSのベンチャー支援は、直接投資先の高い上場率など短期間で成果を上げつつも、放送やメディアを通じて、人々に感動や新しい知識、そして見たこともない体験を提供していくという、事業の本質からブレることはない。それを可能としているのは、片岡氏をはじめとした、会社として、また組織の一員として、自身の立ち位置をしっかり捉え、リードしていくことのできる“人”の存在にあるのだろう。

東京放送ホールディングス 次世代ビジネス企画室投資戦略部 片岡正光部長

■関連サイト
TBSイノベーション・パートナーズ

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