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ASCII STARTUP 今週のイチオシ!第33回

製造業の「売り手」と「買い手」を結ぶ真のプラットフォームとは?

タブーを恐れず製造業の聖域に踏み込む「アペルザ」の挑戦

2016年07月29日 07時00分更新

文● 鹿野恵子(プレーンテキスト) 聞き手・編集●北島幹雄/ASCII STARTUP 撮影●曽根田 元

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 複雑に絡みあったバリューチェーン、旧態依然とした取引のあり方、内向きなネットワークによるコミュニケーション不足。多くの既存産業がそうであるように、製造業界にも蔓延するこうした問題点を浮き彫りにし、ものづくりの産業構造をリ・デザインする。

 株式会社クルーズ、株式会社FAナビ、オートメ新聞株式会社の3社が統合し2016年7月に誕生した株式会社アペルザは上記のようなミッションを掲げ、製造業に特化したプラットフォーム「aperza」(アペルザ)を8月より始める。

 ウェブ上で製品選定の情報収集から購買までを製造業においてワンストップで実現するアペルザは、ワンプラットフォームによるグローバル展開を視野に入れている。ものづくりの現場とインターネット技術両方を知る、株式会社アペルザ 代表取締役社長兼CEO 石原誠氏に、製造業界が抱える課題に対しアペルザがどのように挑戦していくのか、話を聞いた。

アペルザの石原誠代表取締役社長兼CEO

情報収集からEコマースまで 製造業のプラットフォーム「アペルザ」

 人はものを買うときに、対象となる商品の情報を集めて選定をし、最終的に購入の意思決定を行う。購買を決定するためのそうした情報をオンライン、オフラインにかかわらず製造業に特化して提供してきたのがアペルザの前身である、スタートアップ企業のクルーズだ。ネジ1つから、数千万円はする産業用ロボットまで、製造業に関わるありとあらゆる商材の情報を掲載するBtoBの製造業向けポータルサイト「Cluez(クルーズ)」を手掛けていた。

Cluez

 クルーズでは掲載情報を収集する際、メーカー側にプラットフォームへの情報掲載を呼びかけ登録を促すという方法をとっていた。そうして集めた情報をメールマガジンなどで定期的にユーザーに配信する、いわゆるプッシュ型が中心のメディアだ。しかし、この方法には情報収集に時間がかかるなどの問題点があった。そこでアペルザでは、自助努力でより網羅性の高いデータベースをつくろうと、今回新たなサービスを構築したのである。

 アペルザがクルーズと大きく異なるのは、第一に、クルーズがプッシュ型のメディアであるのに対し、アペルザがプル型のメディアであるという点だ。ユーザーはアペルザを訪れることで商品の選定から調達までをワンストップで実現できるようになる。第二に、クルーズがメーカー側を向いたメディアであったのに対し、アペルザは製造業向けの装置や工具の卸商社や販売店に目を向けたサービスであるという点だ。

 製造業に関わるモノの流れを大まかに説明すると、生産に直結する原材料や資材、部品などの「直接材」と、それ以外の購買対象となる工具や装置などの「間接材」の分類を知るとわかりやすい。

資料提供:アペルザ

 直接材を元に、板金や加工や塗装などを行う街工場が末端部品を作り、それらはいくつもの工場を経由して組み上げられ、最終的にはいわゆるトヨタやパナソニックなど大手の最終製品メーカーの工場に納品される。一方、生産には直結しないが、工場や研究所などに必要な工具や装置などの間接材も、それぞれをつくる設備部品メーカーがいて、卸商社が存在する。昨今、生産設備の大部分は外注化されていて、設備・装置メーカーが先の設備部材を組み合わせて装置などの設備を作り、最終製品メーカーの工場に納品する。最終製品メーカーは、その生産設備を稼働させて製品を作り上げる、という流れになっている。アペルザが着目したのは、この生産設備を支える巨大な間接材の市場である。

 製造業向けの工具や装置を販売している卸商社や販売店はメーカーに比べ資金量で劣る。そのため、自社でECサイトの運営をすることは難しい。さらに、工場の装置のような専門的な商材を楽天などの一般的なECサイトに載せたとしても、顧客ターゲットが異なるためそうそう売れることはない。こうした卸商社や販売店の援護射撃となるのがアペルザだ。

 アペルザではこれまで業界ではタブー視されてきた商品価格や口コミ情報の掲載にまで踏み込んだ。ユーザーはアペルザのサイトを訪れれば、どのメーカーにどのような商品があって、いくらで購入することができるのかを比較可能となる。たとえeコマースの経験がない販売店や卸商社でも、ウェブ経由でリード(見込客情報)を取得することができるわけだ。

 課金方法は2パターン。オンラインからの購入した場合は販売マージン(アフィリエイト)、そしてオフラインからの購入の場合はリード1件ごとに課金するという仕組みとなる。クルーズがメーカーから広告、マーケティング予算から掲載費が支払われるビジネスモデルであったのに対し、アペルザは国内20兆円の市場において販売に対する取引手数料が獲得可能だ。

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