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山谷剛史の「アジアIT小話」 第128回

インド料理に必須となる? 謎の調理家電を買ってみた!

2016年07月21日 12時00分更新

文● 山谷剛史

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実際に料理を作ってみた!

ある意味シンプルなパッケージだ

ある意味シンプルなパッケージだ

容器なしだとこんな感じ

容器なしだとこんな感じ

 開封して早速使ってみたいところだが、調理器具を利用することから、まずは水洗いしてきれいにするところからはじまる。

説明は英語。簡潔でわかりやすい

説明は英語。簡潔でわかりやすい

 説明書に書いてある通りに、丁寧に水で軽くぬらして石の容器と回転石をブラシでゴシゴシと磨いていく。これだけで一苦労だ。

 中国の説明書は書いている本人しかわからないようなひどいものも昔はあったが、英語で書かれたこの製品の説明書は、読んで何をすればいいのかわかるので一安心。

 事前準備ができたところで電気を繋いで、電源をオン。ゴロゴロゴロゴロ……と日本では聞き慣れない音を立てて、石が回転する。電気を食うのか、電源ユニットはかなり暖かくなる。

だんだん米がすりつぶされていく

だんだん米がすりつぶされていく

ペースト状になったものを器に移す

ペースト状になったものを器に移す

米から米粉にしてチヂミを作った

米から米粉にしてチヂミを作った

 説明書には使い方は書いてあるが、何を挽いたり擦ったりすればいいか悩ましい。インドの国民食カレーで、さまざまな香辛料をパウダーにして食べると考えれば、これはあってうれしいアイテムだろう、と思った。

南インドで食べられる「イドゥリ」

南インドで食べられる「イドゥリ」

南インドの定番「ドーサ」

南インドの定番「ドーサ」

 そこで「How to use Wet grinder」と検索してみると、YouTubeにアップされたインドのハウツー動画や電動石うす製品のCMがズラリ。本当の使い方は、南アジアで定番の「ドーサ」(南インド料理屋では食べれる定番料理)や、まんじゅう型のパンケーキのような「イドゥリ」という料理を作るため、米粉を米から作るためのモノなのだ。

 電動石うすを稼働させて、米や豆を入れて水を投入していき、クリーム状にする。そして、それを適当な形にして焼いたり蒸したりし、できたものをカレーにつけて食べる。電動石うす「Wet grinder」はそのためのモノなのだ。

 ちなみにインド向けの製品に限らず、インドで人気のネットサービスについて検索すると、YouTubeによるハウツー動画に多数たどりつくことがあるだろう。近年のインドではYouTubeでハウツー動画が多くあがっているように思う。3Gや4Gの従量課金の無線回線が普及し、月額定額プランがないインドで、動画が活用されている点が興味深い。

 品質面だが、メイドインインディアの製品をいくつも見たわけではないが、この製品を見る限り、メイドインチャイナよりもかなり作りが雑な感じをうける(特に小さめの部品で感じる)。

 以前、日本製品と中国製品と比較したときに感じた、雑さに近いモノを感じる。メイドインインディアの品質がひどいとは在インドの日本人もいうところ。

 多くのインド人が中国製品は品質が悪いと信じてやまないそうだが、インド製品のほうがよほど現状では品質はよくない。

インドのキッチンにこれが普及する日がやってくる?

インドのキッチンにこれが普及する日がやってくる?

 Wet grinderはインド人によるインド人のための家電だ。「メイドインインディアを感じる」そんな日本ではレアな行為をすべく、インドで買って持ち帰って家庭に一台置いてみるのはいかがだろうか。


山谷剛史(やまやたけし)

著者近影

著者近影

フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。書籍では「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)、「日本人が知らない中国インターネット市場」「日本人が知らない中国ネットトレンド2014」(インプレスR&D)を執筆。最新著作は「中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立 」(星海社新書)。

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