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異種混在環境、物理/仮想サーバーの統合監視ツールにNPMとSAMを選んだ理由

国際法律事務所の“眠らない”業務システムを監視するソーラーウインズ

2016年04月22日 08時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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24時間動き続ける法律事務所、その業務システムを支える仕事

 アンダーソン・毛利・友常法律事務所は、国内外の企業をクライアントとして幅広い企業法務を手がける総合法律事務所だ。長い歴史を持つ2つの法律事務所が合併して2005年に設立され、2015年にはさらに別の法律事務所を統合してその規模と活動領域を拡大している。

 同法律事務所には、M&Aや国際金融取引、国際投資、事業再生/倒産、訴訟/仲裁など、企業活動に関連する幅広い専門分野で実績を持つ弁護士が数多く所属する。2016年4月現在の所属弁護士数は440名で、国内オフィスの東京/名古屋に加え、北京/上海/シンガポール/ホーチミン/ジャカルタにもオフィスを構えている。

アンダーソン・毛利・友常法律事務所は国内外の企業法務を手がける総合法律事務所だ(画像は公式サイト)

(左から)アンダーソン・毛利・友常法律事務所 情報システム室 副室長兼CSOの北條義秀氏、情報システム室 サーバーオペレーションズチームの秋山敦司氏、情報システム室 室長の酒田裕文氏

 そんなアンダーソン・毛利・友常法律事務所で、弁護士業務を支える国内外の情報システムを管理/運用しているのが情報システム室だ。副室長兼CSOを務める北條義秀氏は、法律事務所の情報システムについてこう説明する。

 「法律事務所と言っても、情報システムの構成は一般的な企業とあまり変わらないと思います。ただし、ドキュメンテーションは弁護士の主要な業務であり、ドキュメント管理システムは特に重要なものと位置づけています。あとは、クライアントや社内とのやり取りに欠かせないメッセージング(メール)システムも重要なものですね」(北條氏)

 もうひとつ、システムの可用性や信頼性も強く重要視されると北條氏は語る。クライアント企業は日本国内だけでなく、アジア、北米、ヨーロッパにも及ぶ。さらに、案件によっては1分1秒を争うような対応を求められることもある。そのため、夜間であろうと週末であろうと、所属弁護士がいつでもシステムを利用できる環境が要求されるのだ。

酒田氏

 情報システム室 室長の酒田裕文氏は、「ずいぶん昔(合併前)の話ですが、夜間にサーバーが故障してシステムが停止してしまい、その対応が遅れたため、業務に大きな影響を与えてしまったことがありました」と過去の苦い経験を振り返る。可用性の確保は重要なミッションであり、そのためにはシステム全体の稼働状態を監視し、障害や不具合の予兆に目を光らせるとともに、発生した場合には原因がどこにあるのかをすぐに突き止めて復旧させる体制を整える必要があった。

老朽化した監視システムのリプレース、要件は大きく2つ

 ところが、肝心の監視システムは老朽化していた。2000年に導入したレガシーな運用管理システムを利用しており、監視ツールとしてはほぼ「死活監視」しかできないものだったという。

 「死活監視が中心の監視ツールだったため、システムごとのパフォーマンスなど、細かい稼働状況はよくわかりませんでした。障害発生を検知しても、結局はサーバーチームが手作業で個々の状況を調べて原因を突き止め、外部ベンダーと共に保守に当たるといった具合で、当然、運用コストもかかっていました」(北條氏)

北條氏

 一方で、事務所の合併/統合もあってシステム規模は拡大し続けていた。情報システム室 サーバーオペレーションズチームで運用管理の現場を担当する秋山敦司氏は、「現在は仮想サーバーが100台、物理サーバー30台という規模になっています」と語る。しかも仮想化環境は「VMware vSphere」と「Microsoft Hyper-V」の両方が混在しており、稼働状況はそれぞれの管理コンソールを通じて監視していた。

 そこで2015年の春頃から、情報システム室では監視システムのリニューアル検討を開始した。ちょうど、統合を契機とした多数のシステム更改プロジェクトが動いており、「そうしたシステムのチューニングやサイジングに使うためにもいいタイミングでした」(北條氏)という。

 新たな監視システムに対する要件は、大きく2つあった。

 まずは「監視機能の拡張」。これまでの死活監視だけでなく、各システムにおけるパフォーマンス、CPUやメモリの使用率など、より詳細まで踏み込んだ状況把握ができることが求められた。

 もう1つは「監視業務も含めた、インフラ管理業務の効率化」だ。前述のとおり、同法律事務所のシステムはマルチベンダーの混在環境になっており、それぞれに対応した複数の管理/監視ツールを行き来して作業する必要があった。これを統合するとともに、なるべく自動化できる(手作業を削減できる)仕組みが求められた。

 情報システム室では2015年6月から8月にかけて製品選定を実施し、最終的には複数の候補製品に対して実機検証(POC)も行った。その結果、ソーラーウインズの「ネットワーク パフォーマンス モニター(NPM)」と「サーバー&アプリケーション モニター(SAM)」が選ばれた。

 「比較検討した結果、最も多くの要件を満たしたのがソーラーウインズ製品でした。特に、仮想化ノードの詳細な情報が正確に表示される点がポイントでした。加えて、インタフェース(ダッシュボード)のカスタマイズが容易にできる点、将来的な拡張性がある点も評価しました」(北條氏)

ソーラーウインズ製品でサーバー/仮想化環境の監視作業を統合

 8月末の採用決定後、すぐさま監視環境が構築され、9月頭にはNPMとSAMの本稼働がスタートした。酒田氏は、ソーラーウインズのNPMとSAMを導入したことで「運用管理業務の効率が非常に良くなった」と評価している。

 「運用開始後はまず、ディスカバリ機能(ノード検出機能)で監視対象を自動検出できます。システム全体にわたる監視ツールが1つのコンソールに統合され、しかも細部まで監視でき、VMwareやHyper-Vのサービスコントロールも可能です。ディスクやCPU/メモリのリソース量がいつごろ枯渇しそうかを予測する機能もあります」(酒田氏)

 現場の運用業務を手がける秋山氏も、毎日、複数のツールを行き来して監視する必要がなくなったことを喜んでいる。

 「朝出社して、ソーラーウインズのコンソールを立ち上げるだけで、状況がまとめて確認できるようになりました。夜間に発生したアラートも、CPUやディスクの状態も、一カ所ですべて把握できるので楽ですね」(秋山氏)

秋山氏

 加えて、ソーラーウインズのテクニカルサポートの質も高く評価しているという。「基本的な機能は簡単に使えますが、アラートの条件設定を細かく作り込みたい場合などはわからないこともあります。サポート担当にはWeb会議やメールなどを通じて頻繁に質問させてもらってますが、迅速な対応が受けられており助かっています」(秋山氏)。

将来的にはストレージやネットワークの監視も統合したい

 アンダーソン・毛利・友常法律事務所がソーラーウインズ製品を導入してから、およそ半年が経過した。北條氏は将来的なビジョンとして、この監視ツールの適用範囲をさらに拡大していきたいと語る。

 「たとえば『ストレージ リソース モニター(SRM)』やネットワークの『IPアドレス マネージャー』などを追加して、サーバーインフラ以外の分野でも運用の効率化が図れたら、と考えています」(北條氏)

 前述した採用理由のひとつにも挙がっていたが、ソーラーウインズの監視ツールならば、製品を追加購入することで単一コンソールへの統合を維持しつつ監視の幅を広げていくことができる。ほかの分野でも、運用や監視作業の大幅な効率化が実現するはずだ。

 システム監視をソーラーウインズ製品に統合し、単一コンソールから全体像も、個々のコンポーネントの細かな状態も見渡せるようにする。こうした効率化が、アンダーソン・毛利・友常法律事務所の“眠らない”業務システムを、より堅牢なものにしていくに違いない。

(提供:ソーラーウインズ)

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