見積からキャッシュフロー!経営者が作った「board」のすごみ
地味ながら現場に役立つスモールビジネス向け業務ソフトの決定版
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ヴェルク(Velc)株式会社が手がける「board(ボード)」は見積・発注・請求書などを作成しながら、経営に必要な将来のキャッシュフローが見える業務システム。受託開発と並行して作ったサービスながら現場で役立つ機能が満載されている。開発からサポートまで手がける同社代表取締役の田向祐介氏に聞いた。
現場の労苦を確実に解消する機能を搭載
ヴェルクはフューチャーアーキテクトで長らく業務システムに携わってきた田向祐介氏や津久井浩太郎氏が立ち上げた都内の受託開発会社で、今年で6年目。現在6人のメンバーで業務システムやWebサイト、スマホアプリなどのシステム開発を幅広く手がけるほか、創業当初から自社サービスも並行して展開している。このうちの1つが2年前に開始した「board」になる。最大50名程度のスモールビジネスを対象に、企業活動に必須となる見積や発注書、請求書などの書類作成の機能をクラウド型で提供する。
当然ながら書類作成機能もひととおり網羅しており、経理部門の省力化も実現する。作成した書類の郵送代行も可能だし、見積書の送付状も自動作成し、ソートして出力できる。経理にうれしい機能だ。また、未請求の案件があれば通知してくれる。ヴェルク代表の田向祐介氏は「請求書出したかなとか、入金まだかチェックするって精神的に疲れるじゃないですか(笑)。だから、boardではGTDのようにタスクを管理し、担当者にやるべき仕事を教えてくれます」とアピールする。
同じく、現場発ならではのアドオンとしては、「書類デザインエディター」という機能があり、100項目以上で書類テンプレートをカスタマイズすることができる。「書式にこだわる人だけかと思ったら、意外とニーズが多いんです。社印の位置とかって、会社によって違うので、サイズやバランスを細かく調整できます」と田向氏。実に現場のツボを突いた機能と言える。
「3ヶ月後の給料やばい」がわかるboardのメリット
とはいえ、ここまでであればMisocaやMakeLeaps、MoneyForwardなどの書類作成サービスも似たようなことができる。boardのすごいところは、見積からの売り上げ見込みやキャッシュフローを予測する販売管理の機能を持っている点だ。「たとえば3ヶ月後の給料やばいとかわかります(笑)。これが経営者にはめちゃくちゃ刺さるんです」と田向氏は語る。
boardは他のサービスのように「見積書を作る」「請求書を作る」といったメニューではなく、見積書を作ると、発注書や請求書が自動的に生成され、案件単位でステータスが管理される。案件内で複数の見積や発注書、請求書が管理されるため、原価を見ながら、案件単位の損益が出せる。また、売り上げ分析では、受注が確定している案件や受注角度の高い案件など金額が積み上げられるため、売り上げ的に悪いところ、足りないところがすぐにわかるという。「これを営業管理に使っているお客様も多くて、獲れそうな案件を掘り起こすといったアクションに結びつきます」と田向氏は語る。
経営者に刺さるのは、先の読めないビジネス環境の中、いち早く未来が見えるからにほかならない。一方で、経理の人にはあまり響かないという特徴もある。「会計のキャッシュフローってだいたい月末締めで、過去の実績なんです。でも、過去の実績わかったところで、数ヶ月後、給料払えるかわからないじゃないですか」と田向氏は指摘する。そこで、boardでは大きめな支払いが発生するタイミングで、いくら残っているかの概算を出すことで、資金繰りがわかるようにした。ロジック的にはシンプルだが、他のサービスでは請求書を作ることで、初めて売り上げが立つので、将来の予測が出せないことが多い。スモールビジネス向けのサービスでは意外と実装されていない機能だという。
長らくエンタープライズの業務システムに携わり、管理会計の経験も積んできた田向氏がそのノウハウをつぎ込んでできたboard。目指すは低廉な価格で使えるERPのスモールビジネス版だ。「自身が会社を経営していると、請求書や見積の作成だけでは当然終わらず、そこからいかに売り上げの見込みを把握できるかが重要だったりします。既存のサービスはそこが欠けてるんじゃないかと思っていました」(田向氏)。営業や販売管理などのポイントプロダクトでもなく、高価で導入の難しいERPでもない形で、より経営者がうまくビジネスを回せるサービスとして作ったのが、boardというわけだ。
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