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VRを「使っていない人」を巻き込む仕組みがおもしろい

VRの弱点をうまく利用したボードゲームに流行の予感あり

2015年11月01日 15時00分更新

文● 新清士、編集●ASCII.jp

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欧米で注目を集める爆弾解除ゲーム

 7月にGear VR版が、10月にPC版が発売になった「Keep Talking and Nobody Explodes」は、カナダの3人のインディゲーム会社、Steel Crate Gamesが手掛けている。このゲームは5分間という制限時間内で爆弾を解除することが目的で、2人でプレーする。

 1人のプレーヤーはVR空間で爆弾を見ている(PC版はモニターでもプレー可能)。目の前の爆弾には、何色かのワイヤーや、暗号を入力するボタンなどが並んでおり、それを決められた手順で、解除していかなければならない。その手順は、公式サイトからダウンロードできる「爆弾解除マニュアル」に書かれている。もう1人のプレーヤーは、そのマニュアルを読んで、解除方法を伝えなければならない。もちろん、そのマニュアルも一筋縄では解けないようになっている。

Keep Talking and Nobody Explodesの画面(Oculusで見るとVRで見える)

 例えば、ワイヤーをカットする場合でも、3~6本のワイヤーが毎回ランダムに登場し、切断方法も、ルールを確認しなければならない。「もし、赤のワイヤーがなければ、2番目のワイヤーをカットしろ。そうでない場合は、最後のワイヤーが白ならは、最後のワイヤーをカットしろ。そうでない場合は……」という風に、さまざまな条件からベストな方法を発見しなければならない。3回失敗すると、爆弾は爆発してゲームオーバーになる。

 VRを見ているプレーヤーは爆弾にどのようなワイヤーなどが付いているのかを正確に説明しなければならないし、マニュアルを読むプレーヤーは、その情報から正しく解除方法を伝えなければならない。

 Keep Talking and Nobody Explodesは特に、PC版のリリース後にプレー動画を通じて盛り上がりが起きている。

 10月にYouTubeに投稿されたハンドル名LtHummus氏がプレーしている動画は、138万回再生されている。もっとも難しいハードコア爆弾を、マニュアルを解読する複数のプレーヤーからのボイスチャットを通じて情報を得つつ解体するのだ。最終的に、時間0.71秒というギリギリでクリアに成功するのは、見ていてドキドキする。

LtHummus氏によるKeep Talking and Nobody Explodesのプレー動画

VRを体験していない人を巻き込むことが重要

 VRの世界は、VRによる没入体験に比重が置かれているコンテンツ制作が一般的だ。しかし、1人だけのVRを超えて、VRを触っていない人も巻き込むようなコンテンツを産み出そうという動きは積極的に模索されている。

 ソニー・コンピュータエンタテインメントのPlayStation VRは、VRゴーグルで表示されている映像を外部モニターにも出力するソーシャルスクリーンという機能が標準で搭載されており、VRゴーグルを付けていない人ともゲームプレー体験を共有するように工夫されている。

 Oculus VRはVR空間でほかのプレーヤーとコミュニケーションを自然に行えるようにする「ソーシャルVR」の概念を強調し始めている。

 VRが普及するためには、VRをプレーしていない人も一緒に楽しめるような仕組みを整えるためにはどうすればよいかが、重要なポイントだと認識されている。ただ、まだまだ優れた非対称性ゲームの開発方法は世界的に模索中というところだ。

 OcuFesの期間中、タワー・オブ・メイズのブースは、常に笑いが途絶えず、誰もがプレー後におもしろかったと感想を述べていたのが印象的だった。多くの人をプレーヤーとして巻き込める、VRでの非対称性ゲームは、新しい分野のゲームとして、今後さらに注目を受けることになりそうだ。

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