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同社初のハイレゾ対応DAC内蔵ポータブルアンプ「SHA900」も

Shure、世界初のコンデンサー式イヤフォン「KSE1500」

2015年10月22日 14時00分更新

文● 小林/ASCII.jp

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プロダクトマネージャーのショーン・サリバン氏、カテゴリーマネージャーのマット・エングストローム氏

 シュア・ジャパンは10月22日、世界初をうたうコンデンサー型イヤフォン「KSE1500」と同社初のDAC内蔵ポータブルアンプ「SHA900」、そして「SE846」の新カラー3色(ブラック、青、ブロンズ)を発表した。世界に先行しての発表。SE846の新色モデルの価格や仕様は既存製品と共通。

KSE1500SHA900SE846(新色)

 価格はいずれもオープンプライス。KSE1500は12月末~1月の発売を予定しており、予想実売価格は39万円弱。SHA900とSE8460は12月末の発売予定で、予想実売価格はそれぞれ13万円弱と11万円台後半。

Shure Asia Limitedのマネージング・ディレクターのウィリアム・チャン氏

 本日都内で開催された記者発表会では、Shure Asia Limitedのマネージング・ディレクターのウィリアム・チャン氏、米国シカゴの本社からプロダクトマネージャーのショーン・サリバン氏、カテゴリーマネージャーのマット・エングストローム氏などが来日して登壇。チャン氏は冒頭で、日本を最初の発表地に選んだ理由について「市場的に重要だから。オーディオとパーソナルリスニングのトレンドをリードしている点に注目している」とした。

 注目はインイヤータイプでは究極の選択というべきKSE-1500。エレクトロスタティック型などとも呼ばれる、コンデンサー型ドライバーを利用する製品はこれまでSTAXなどが提供するオープンバック方式のイヤースピーカーやMartin LoganやQUADなどが提供する据え置き型スピーカーなどがあったが、ポータブルを意識したイヤフォンタイプの製品は市場になかった。

KSE-1500のパッケージ内容

 SE846は、BA型ドライバーを4基搭載した同社ハイエンド機種として、今後も君臨するが、KSE1500はこれまでにない技術を取り入れ、8年の歳月をかけてようやく市場投入を実現した意欲作である。シュア本社でカテゴリーマネージャーを務めるマット・エングストローム氏によると「最初の数年間はシュアの社内でも極秘のプロジェクトとして進行。17年間の中でもっとも開発に時間のかかった製品」だという。

インイヤータイプで外出先でも不満のないコンパクトなサイズだ

 開発は2007年に開始。エンジニアが持ち込んだプロトタイプは、当初コンデンサーマイク(マイクとスピーカーの原理は音を電気に変えるか、電気を音に変えるかだけで基本的に同じ)を流用した武骨なもので、リード線もむき出し。お世辞にも付け心地がいいとは言えなかったとのこと。いぶかしく思ったが、聴いてみると、今までない音の世界を切り開けるとすぐに感じられるものだったという。

中央が一番最初のプロトタイプ
アンプのプロトタイプ

 特徴としてはダイヤフラムの軽さがある。BAを上回る過渡特性を持ち、早く忠実なレスポンスが得られる。これがソースに含まれた情報をより忠実で明瞭なディティールを持って再現できる能力につながる。シュアの説明では、音質面でBAドライバーが劣っているとは言えないが、アキュレートな(正確な)サウンドを実現するという意味で優位性があるという。またシングルドライバーである点も、トランジェントをよくできる理由になっているという。

本体の構造
信号の立ち上がりをSE846のようなBA型機と比較。早く鋭く立ち上がっていることが分かる。

 ドライバーの直径は0.002インチと非常に小さく、ダイヤフラムを鉄板(固定極版)で挟み込んでいるがその隙間はわずか1/2000インチしかない。髪の毛の直径の半分ほどとのこと。業界ではここまで微細に作ることは困難だと考えられており、ここでシュアが90年間培ったトランスデューサー開発のノウハウが生かされたとしている。

 コンデンサー型ヘッドフォンでは高い電圧をかける必要があるので、AC電源につなぎ据え置きで使うのが普通だが、KSE1500はバッテリー駆動にも対応する。またアンプ側にはUSB DAC機能(最大96kHz/24bit)やDSPを活用したEQ機能なども持たせており、アナログ入力だけでなく、スマホやパソコンと接続してハイレゾ音源を再生することも想定している。

OLED(有機EL)を利用したポータブルアンプはGUIもわかりやすくした。

 4バンドのパラメトリックEQはプリセットが5つを。さらにカスタムの設定を最大4つまで記録できる。またデジタル回路を通さずに聞きたいというユーザーに向けてLINE INPUT(アナログバイパスモード)も用意している。

パラメトリックタイプのEQを用意。これもかなり細かく調整できる。

 内蔵DACはCS4272を使用。96kHz/24bitのクオリティーまでとした点は電池寿命やスマホ用再生アプリの対応状況、端末との互換性などを配慮して決めたという。ただし、将来の製品では192kHz/24bitのものも作る必要があると考えているようだ。

 デジタル入力やDACの搭載は当初考慮していなかったが、最新のトレンドを踏まえると、AndroidでもiOSにも対応できる製品にするためにDACやEQを追加した。ていった。小さなスペースでこれらを実現するために10層のPCB基板を使用。ノイズや干渉を減らし、高電圧部分と低電圧部分を分離できるようにした。

 またケーブルの開発も挑戦だった。据え置き型のコンデンサー型ヘッドフォンではリボンケーブルが多く用いられているが、これは静電容量を低く抑えるため。これを一般的なイヤフォンと同じ、細い丸形のケーブルに収め耐久性にも配慮することに難しさがあり、ケーブル開発にも3年をかけたという。

ケーブルも苦心した部分だという

 SHA900は、KSE1500からイヤフォンを省きアンプ部分だけを独立させた製品。特に幅広いインピーダンスのヘッドフォンに対して、リニアな再生が可能になるように配慮している。SE846のようにインピーダンスの低い8Ω、16Ωの製品を、もっと高いインピーダンスを想定した市販のHPAで再生すると周波数によって音色の変化が生じやすくなると。調査してみると、アンプとイヤフォンの組み合わせで音が変わる。そこが理解できたうえで、もとの音楽ソースの周波数特性をそのままに色付けなく出力できるという。

インピーダンスに応じて特性が変動しないように、特に低インピーダンスのヘッドフォンをつなぐ際の品質にこだわっている。

 本体にはAndroidやiPhoneと接続するためのOTGケーブルやLightningケーブルが付属。バッテリー駆動時間はSHA900のアナログバイパスモードで20時間。DSPを併用すると10時間。KSE1500はコンデンサーヘッドフォンを駆動する関係でそれぞれ10時間、7時間となる。

 KSE1500は冒頭で述べたようにこれまでのイヤフォンの概念を大きく超えた音質の機種と言えるが、SHA900+SE846など価格的に近い純正の組み合わせでキャラクターの違いがどうかなど興味が尽きない面もある。

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