年中同じものを着ることになってしまう
サンフランシスコの気候とiPhoneは関係がある!?
さて、9月になりました。今年も残すところあと4ヵ月。といっても、まだ気温が高いうちは、1年の終わりという感覚にはまったくなりませんね。サンフランシスコやバークレーは引き続き、安定した25度前後の晴天が続いており、霧が出る以外は秋晴れ、という陽気です。
季節感というのは大切なもので、カレンダーとにらめっこしなくてもなんとなくの生活のペースというものがつかめますし、着るものも楽しむことができます。冬場を除いて年中サンダル、ハーフパンツ、Tシャツにセーター、という格好で事足りると、着るもので季節を感じる気持ちも薄れます。
その分、年中同じものを着るのだから、思い切りこだわったモノが欲しいという職人気質が作り出した素晴らしいジーンズやシャツのブランドがサンフランシスコで育っているのも事実です。
年に1度のiPhoneの刷新がまもなく
そんな北カリフォルニアでデザインされたiPhoneも、似たような思想が流れているのではないかと考えるようになりました。劇的な変化ではなく、ゆっくりとしたペースながら、確実に人々の生活に溶け込んでいく存在を目指す、そんな8年間を見てきたような感覚です。
以前は年に4回新製品が登場していた日本のケータイは、素早いペースでハードウェアの進化を遂げていました。しかしiPhoneは2007年の登場以降、1年に1度のアップデートを貫いています。日本のファッションとサンフランシスコの洋服を比べているような共通点を見出すことができます。
毎年9月はiPhoneの新製品が発表・発売される月。そしてAppleからの招待状が話題になっています。「Hey Siri, give us a hint.」とSiriに話しかけるフレーズが書かれたその招待状からは、例年どおり、特に製品のヒントになるようなことは読み取れません。
実際にSiriに同じフレーズで質問してみると、「機密事項で言えない」「答えは自分の中にある」「9月9日に重大な発表がある」「いまはHint of Limeしかあげられない」とはぐらかされてしまいました。
このHint of Limeという言葉はそういう慣用句があるのかと思って調べてみましたが、辞書では見つからず、Google検索では「トルティートス・ライム味(Tostitos hint of lime)」の画像ばかり出てきてしまいます。ライム風味のトルティーヤチップ1枚しかあげられない、ということなのでしょう。
では、iPhoneに対して何の期待がある?
さて、2015年に登場するのはiPhone 6s、iPhone 6s Plusとみられています。サイクルどおりであれば、2014年に登場したiPhone 6/iPhone 6 Plusのアップデートとなり、デザインは変わらず、内部の刷新が中心となるでしょう。
期待されている内容をまとめておくと、プロセッサの高速化、通信チップの効率化・高速化、感圧タッチパネルの採用、カメラの向上などになります。もちろん、テクノロジーが好きな筆者としては、こうした機能向上に対する挑戦は大歓迎だし、それをいち早く体験することも楽しみで仕方ありません。
その一方で、冷静な自分もいます。果たして、これ以上スマートフォンに何を求めるべきなのか、ということです。
iPhone 6 Plusを使い始めて、iPad mini 2を脇に置き、ニュースをMacで読まなくなるほど、大きくなった画面サイズに満足しています。確かに縦画面と横画面の切り替えがスムーズに行かない場面が見られるなど、若干プロセッサの力不足を感じますが、それ以外に不満なことはなくなってしまいました。
カメラについても、スナップ用として十分に良い写真が撮れるようになり、ますますiPhoneで撮る写真の枚数増加を加速させています。通信速度についても、LTEは十分に高速で、家に帰ってWi-FiをONにし忘れていても、気づかないほど。
裏を返せば、スマートフォンの進化の欲求が、iPhoneの画面サイズの拡大が達成されたことで、満たされてしまったような感覚で1年間を過ごしてきてしまいました。
ついでにいえば、Apple Watchを使い始めて、時刻や通知を手首で見られるようになり、iPhone 6 Plusのポケットからの取り出し頻度が下がったことから、大きくなったデバイスの不便さを軽減されています。電池もきちんと1日持ちますし。
(次ページでは、「スマホそのものでは新製品を買う動機付けはできない?」)
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