正しく作れば、正しいものができる
余計なコストをかけないというのもKordzの思想だ。ロック機構についてはすでに言及したが、豪華すぎるパッケージ(コネクターやケーブルの外装)や、ノイズ対策用のフェライトコアといったものも不要という考え方だ。
実はHDMIの規格自体が、ツイストペアケーブルを使った差動伝送によってノイズに強い仕組みであり、規格どおりに作ればフェライトコアは必要ない。逆にフェライトコアは高周波の信号を減衰させる効果がありMHz帯の信号を伝送する際には有益だが、電源ケーブルなどならともかく、HDMIケーブルのようにGHz帯の信号を伝送するデジタルケーブルにとっては害悪になる。考えてみれば、有線LANのケーブルにもフェライトコアが付いていない。それでもフェライトコアがついたHDMIケーブルが市場に存在するのは、「そのほうが売れるから」にほかならない。
Kordzの哲学は“正しく作れば、正しいものができる”ということ。
Kordzが、HDMI Adopterであり、かつ自社ブランドのケーブルにこだわるのもそこにある。製品にHDMIのロゴを掲げるためにはライセンス取得が必要となり、そのためにはHDMI Adopterの工場を利用する必要がある。しかし、しかしHDMI.orgのウェブサイトなどに掲載されているHDMI Adopterのリストを調べると、多くは中国企業。日本のメーカーの名前を見つけることは難しい。
つまり国内市場に出回っているケーブルの多くは、OEMでHDMI Adopterの工場に生産を委託しているわけだ。商品としてのケーブルを企画し、販売するメーカーと、実際にケーブルを生産するメーカーは異なる。そこには「こうすれば売れる」というマーケティング的な判断が介在する。
そんな中、Kordzは高品質で、規格に忠実で、しっかりとした体制で生産しつつ、過度なコストをかけないという実益を重視したコンセプトを持つ。正しく作れば、正しいものができるという言葉には好感が持てる。