良いデータさえ買ってくればいい地図はできる!?
Google マップの「巨大システム×手作業」が支える見やすさと拡張性
2015年07月22日 09時00分更新
地図の内容は使い勝手とメンテナンス性を考え、日々アップデートされている。初期のGoogle マップでは地図の多くの部分で、現在のようにベクター形式のデータではなく、衛星写真と同じラスター形式のデータが使われていたのはご存知だろうか? 日本の詳細な地図を見やすく表示するには、紙の地図で実績を積んだレイアウトをそのまま生かす、ラスター形式の方が良かったからだ。ラスター形式の地図画像をタイル状に敷き詰めて表示していた。
しかし、ラスター形式はデータの更新が面倒だ。当時グーグル社内では、タイル状の地図データを社内で全部コピーするだけで、一週間以上が必要だったという。データ容量も大きすぎる。そのため、表示とデータ処理の負荷・難易度は高まるものの、2010年のAndroid版を皮切りに2013年にデスクトップ版も現在ような完全なベクター形式の地図へと変わり、対応デバイスも増え続けている。
システムの力が「手の込んだ冗談」を生んだ
2012年4月1日のことだ。Google マップがいきなり大きな変化をした。地図が、まるでファミコン時代のドラゴンクエストのもののような「8ビットっぽい表示」になったのだ。グーグルは毎年、エイプリルフールのネタに全力を出す。この「ファミコン版 Google マップ 8 ビット」も、そうしたネタだ。
2012年4月1日にファミコン版 Google マップ 8 ビットを公開
このネタ、とにかく凝りに凝っていた。単に絵がファミコン調になっていたのではない。地図を拡大縮小しても、もちろんずっとファミコン調を維持し続けた。ということはすなわち、Google マップのデータを直接解釈しファミコン調のタイル的な表示に置き換えて地図を描くソフトが使われていた、ということだ。
後藤 「あのネタは社内で話し合っている中で出てきたものです。エンジニアと打ち合わせると、意外と短時間でできそう、という話になりました。結局、3ヵ月くらい業務の間に作業して開発したことになるでしょうか。あそこまで大規模なものを3ヵ月で完成させられたのは、元々巨大なシステムがあって、その上で実現していたからです」
もちろんこうしたシステムは、手の込んだ冗談のために用意されているわけではない。前出のランキングも含めた、地図サービスそのもののメンテナンスのために用意されているものだ。
(次ページ「巨大なシステムの力を最大限に発揮した「自動車通行実績情報マップ」」へ続く)
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