2015年4月29日から、米サンフランシスコで開催された米マイクロソフト主催の開発者向けイベント「Build 2015」は、まさに盛りだくさんの発表内容になった。また、2095ドル(約25万3000円)という参加チケットが、発売から1時間もかからずに完売するというほどの注目度の高さ。開発者にとって、Windowsプラットフォームへの関心が高まっていることを示すものとなった。
これは開発者の意識が、変化しつつあることを示すものともいえそうだ。
Windowsプラットフォームは、PCでは9割のシェアを持つものの、デバイス全体では2割以下のシェアに留まっており、なるべく多くのユーザーが利用しているプラットフォーム向けにアプリを開発したい開発者にとっては、魅力が薄くなっていたのは事実だ。
しかし、2014年にサティア・ナデラ氏がCEOに就任してから、Windowsに固執しない戦略を打ち出し始めたり、Windowsプラットフォームをいかに魅力的にするかといった観点での取り組みが相次いでいる。
具体的には、Windowsに固執しないという点では、iOSやAndroidでもOfficeを利用できるようにしたり、開発者向けの施策では、ひとつのアプリ開発で、PCとタブレット、Windows Phoneのすべてに対応できる「ユニバーサルアプリ」(Universal Windows Application)の環境を提供するといった例が挙げられる。そうした環境変化も、開発者にとっては今回のBuild 2015に注目するきっかけになっていたようだ。
そうした開発者の期待感が集まる中で開催されたBuild 2015は、その予想を裏切らないものだった。なかでも、ユニバーサルアプリから「Universal Windows Platform」(UWP)への進化は、参加した開発者を驚かせるものになった。
今回、Build 2015で発表されたUWPでは、ブラウザーで動作するサービスをアプリとしてパッケージングして利用できる「Project Westminster」ほか、Win32ベースで開発されたデスクトップアプリも、.NETで開発されたアプリと同様にWindowsストアに登録を可能にするといった取り組み「Project Centennial」が加えられた。しかも、Androidアプリ用ソースコードをUWPに移植できる「Project Astoria」を実現。そして、iOSアプリのObjective-CコードをVisual Studioで取り込み、UWP上に移行させる「Project Islandwood」という提案も行なってみせた。
Windowsプラットフォームと、Android、iOSとの垣根を取り払うことで、開発者にとってはWindowsへの対応がより簡単になり、Windows対応アプリの増加にも貢献。これがWindowsデバイスの拡大にも寄与することになるとみている。
さらに、Build 2015では、「インテリジェントクラウド」「プロダクティビティの再発明」「パーソナルコンピューティングの強化」という3つの柱を掲げた。それぞれにあてはまるMicrosoft Azure、Office 365、Windows 10をそれぞれプラットフォームとして捉え、さらにそれらすべてが連動していることを打ち出していた。これも、開発者に対してWindowsプラットフォームの魅力を伝えるメッセージのひとつだった。
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