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一番もうかってない会社は? 新規IPO・上場企業ランキング2014年版

2014年12月28日 07時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)/大江戸スタートアップ

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 みんなのウェディング、サイバーダイン、クラウドワークス、面白法人カヤック、VOYAGE、ロックオン、弁護士ドットコム、フリークアウト──今年もさまざまなベンチャー企業が上場し、投資家たちの話題にのぼった。今年注目の新規上場・IPOを、公開直前の売上高や営業利益などからランキング形式で振り返ってみたい。


クラウドソーシングは売上規模もスモールスタート

上場直前期の売上が少ない会社ランキング
第10位 マークラインズ(JQS、情報・通信業) 8億5200万円
第9位 FFRI(マザーズ、情報・通信業) 6億6000万円
第8位 メドピア(マザーズ、サービス業) 5億7500万円
第6位 ジャパンインベストメントアドバイザー(マザーズ、証券業) 5億2000万円
第5位 データセクション(マザーズ、サービス業) 3億1700万円
第4位 弁護士ドットコム(マザーズ、サービス業) 2億9100万円
第3位 サイバーダイン(マザーズ、精密機器) 2億8600万円
第2位 リボミック(マザーズ、医薬品) 1億5100万円
第1位 クラウドワークス(マザーズ、情報・通信業) 5100万円

 インターネットでライティングやイラスト制作などの仕事を依頼する、クラウドソーシングのクラウドワークスが第1位にランクイン。総契約額は185億円を超えているが、5~20%の手数料を収入源としているため直近の売上は5100万円にとどまっている。プラットホームの規模拡大で売り上げを伸ばす計画。


ロボットスーツはこれから儲かるようになるのかな

上場直前期の経常利益が少ない会社ランキング
第10位 アドベンチャー(マザーズ、サービス業) 2600万円
第9位 日本PCサービス(名証セントレックス、サービス業) 1900万円
第8位 弁護士ドットコム(マザーズ、サービス業) 1500万円
第7位 SHIFT(マザーズ、情報・通信業) マイナス7800万円
第6位 サイジニア(マザーズ、サービス業) マイナス9700万円
第5位 レアジョブ(マザーズ、サービス業) マイナス1億1400万円
第4位 クラウドワークス(マザーズ、情報・通信業) マイナス1億5800万円
第3位 gumi(東証一部、情報・通信業) マイナス1億6900万円
第2位 リボミック(マザーズ、医薬品) マイナス2億1100万円
第1位 サイバーダイン(マザーズ、精密機器) マイナス5億6600万円

 第1位は筑波大学から生まれたロボットスーツ「HAL」を手掛けるサイバーダイン。2015年3月期の通期業績予想は3億300万円の赤字予測で、まだ赤字経営が続きそうだ。モバイルアプリゲーム『チェインクロニクル』配信を手がけるgumiも赤字だが、2012年度に3950%の売上成長を叩きだした成長力には期待がかかる。


少ない人数でもバリバリ稼ぐのは証券・サービス業

上場直前の従業員数が少ない会社ランキング
第10位 アルファポリス(マザーズ、情報・通信業) 34人
第9位 エンバイオ・ホールディングス(マザーズ、サービス業) 33人
第7位 クラウドワークス(マザーズ、情報・通信業) 29人
第7位 メドピア(マザーズ、サービス業) 29人
第6位 データセクション(マザーズ、サービス業) 26人
第5位 サイジニア(マザーズ、サービス業) 25人
第4位 ビーロット(マザーズ、不動産業) 23人
第3位 リボミック(マザーズ、医薬品) 16人
第2位 アドベンチャー(マザーズ、サービス業) 15人
第1位 ジャパンインベストメントアドバイザー(マザーズ、証券業) 9人

 第1位は、航空機などを対象としたリース取引(オペレーティングリース)で稼いでいるジャパンインベストメントアドバイザー。通期売上高は約5億2000万円と小粒ながら、従業員1人あたり約5700万円を稼ぐ。第2位のアドベンチャーは旅行予約サイトが主要事業。中村俊一社長は31歳で、今年度上場企業の中では現在最年少だ。


ウェブサービスはとにかく成長速度が爆発的

設立から上場までの期間が短い会社ランキング
第10位 gumi(東証一部、情報・通信業) 7年目
第9位 レアジョブ(マザーズ、サービス業) 7年目
第7位 メタウォーター(東証一部、電気・ガス) 6年目
第7位 ビーロット(マザーズ、不動産業) 6年目
第6位 U-NEXT(マザーズ、情報・通信業) 5年目
第2位 SFPダイニング(東証二部、小売業) 4年目
第2位 イグニス(マザーズ、情報・通信業) 4年目
第2位 フリークアウト(マザーズ、サービス業) 4年目
第2位 みんなのウェディング(マザーズ、情報・通信業) 4年目
第1位 クラウドワークス(マザーズ、情報・通信業) 3年目

 前述のクラウドワークス、結婚式場のクチコミサイトを運営するみんなのウェディング、アドテク企業のフリークアウト、スマホアプリ開発のイグニスなど、IT銘柄が並んだ。浄水場や下水処理場などプラント設計を手がけるメタウォーターは日本ガイシと富士電機の子会社が合併した、生まれながらの伝統企業だ。


鉄道会社よりも巨大なメディアホールディングス

時価総額(公開価格ベース)が高い会社ランキング
第10位 メタウォーター(東証一部、電気・ガス) 600億円
第9位 アキュセラ・インク(マザーズ、医薬品) 641億2000万円
第8位 テクノプロ・ホールディングス(東証一部、サービス業) 664億4400万円
第7位 ジョイフル本田(東証一部、小売業) 696億7700万円
第6位 gumi(東証一部、情報・通信業) 945億9300万円
第5位 日立マクセル(東証一部、電気機器) 1104億1700万円
第4位 すかいらーく(東証一部、小売業) 2330億5000万円
第3位 ジャパンディスプレイ(東証一部、電気機器) 5412億4900万円
第2位 西武ホールディングス(東証一部、陸運業) 5474億円
第1位 リクルートホールディングス(東証一部、サービス業) 1兆7794億9600万円

 iPhoneの液晶ディスプレイを提供していたジャパンディスプレイ、西武電鉄を率いる西武ホールディングスを抑え、リクルートが第1位。求人サービス「リクナビ」を始め、不動産サービス「SUUMO」、旅行予約「じゃらん」などオンラインサービスを牛耳っており、ベンチャーの前に立ちふさがる高い壁となっている。


 gumiなどが成長力で目を引く一方、弁護士ドットコムやクラウドワークスのように今までにない事業が注目を集めた1年だった。旅行予約で「取扱高1兆円を目指す」というアドベンチャーなど、限界があると見られていた市場で新たなプレイヤーが伸びているのも面白い。来年はどんな企業が市場を賑わすことになるのだろうか。

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