格安SIMというと、以前はデータ通信専用のSIMが中心だったが、ここに来て070/080/090番号による音声通話対応SIMを提供するサービスが増えている。今回OCNの音声通話対応SIMを入手したので、簡単にテストしていく。
1台目のスマホにはやっぱり音声通話付きSIM
当たり前だが特に設定はなく通話が可能
格安SIMの利便性が高くなり、格安SIMを挿したスマホをメイン端末として利用しようと考える人もいるはず。1台目であれば、たとえ通話の発信はほとんどしなくても、やっぱり070/080/090番号による音声通話SIMが有利だ。050番号のIP電話では着信にはアプリの常駐が必要でバッテリー消費が気になるし、着信の確実性でも通常の音声通話機能の方が上からだ。
音声通話SIMといっても、料金面ではデータ通信専用SIMから月600~800円程度がプラスされるサービスが主流。ドコモMVNOのSIMの場合、SMSオプションを追加している人も多いであろうことを考えると料金差はさらに小さくなる。
OCN モバイル ONEの音声通話対応SIMも、まさにそんな1枚だ。5つあるデータ通信専用プランからは月756円のプラスでOK。MNPによる転入も可能だ。音声通話対応SIMとしては最低利用期間が6ヵ月と比較的短いのもうれしいところだ(解約違約金は8000円)。
(すべて税込) | OCN モバイル ONE(音声対応SIM) | ||||
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70MB/日 コース |
100MB/日 コース |
2GB/月 コース |
4GB/月 コース |
500kbps コース |
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通信網 | Xi/FOMA | ||||
高速通信通信量 | 1日70MB | 1日100MB | 月2GB | 月4GB |
月7GB/ 500kbps |
制限時の通信速度 | 200kbps | ||||
月額料金 | 1728円 | 2246円 | 1944円 | 2322円 | 2700円 |
通話料 | 21.6円/30秒 | ||||
初期費用 | 3240円 | ||||
SIMサイズ | 標準、microSIM、nanoSIM | ||||
最低利用期間 | 6ヵ月 | ||||
違約金 | 8000円 |
さて、実際にSIMをSIMフリー版のiPhone 6 PlusやNexus 5、ドコモ版のGALAXY S4に挿して使ってみたのだが、プロファイルをインストールしたり、APNを設定するなど、基本的な設定以外は迷う要素も特になく、当たり前だが普通に使えて、通話の発信も特に問題なく可能だ。
今回は試していないが、MVNOの音声通話付きSIMでは対応していないこともある、留守番電話サービス(月324円)やキャッチホン(月216円)もオプションで追加できる。
通話料は21.6円/30秒だが
IP電話の活用など節約術はあり
通話料はドコモMVNOで共通の21.6円/30秒で無料通話分や音声定額などはない。ただそれも「楽天でんわ」のような、電話番号はそのままで通話料を節約できるサービスも使えるし(10.8円/30秒)、さらにOCNのSIMの場合は、同じNTTコミュニケーションズが提供する050番号のIP電話サービス「050 plus」が基本料無料になるため(固定宛:8.64円/3分、携帯宛:17.28円/1分)、発信はそちらを使う手もありだ。
ただ若干気になるのは、(音声通話付きSIMに限らず)最近のOCNのSIMは22時台のような混雑時間帯に速度低下が見られることもある点。これは設備増強のタイミングなどもあるので、一概には結論を出しにくく、1Mbps以上出ていればスマホで使う分には実用上の問題はさほどないのだが、ドコモ契約のSIMとは差を感じる部分ではある。
なお、OCNは来年1月20日にサービスを強化予定で、1日70MBや100MBの高速通信が使える日次コース、月2GBや4GBの月次コースの両方で高速通信分を繰り越し可能になる(日次コースは翌日まで、月次コースは翌月まで)。本稿担当者のように通信量の管理が面倒と考えていて、普段から使ったり使わなかったりするユーザーには、特に日時コースの繰り越しは魅力的に感じる。
不満無く使えて、しかも安い……というところまで当たり前になっている格安SIMだが、来年5月のSIMロック解除義務化に合わせて、さらにホットでかつ競争が激しい市場になっていくことは間違いない。OCNの格安SIMのみならず、今後とも注目していきたいジャンルと言える。