「いい音」を探る楽曲制作プロジェクト
有名5人組アイドルが歌う、本当にいい音で作るプロジェクトがASCII.jpで開始!!
2014年12月22日 21時00分更新
小島 康
DACやアンプなど、オーディオ機器を製造/販売する老舗メーカーラックスマン株式会社広報担当。製品サポートなども担当しており、技術的な面にも精通している。クラシックやジャズはもちろん、J-POPやアニソンまで幅広いジャンルで音楽を楽しむ
与田春生
音楽制作に関するさまざまな事業を展開する株式会社ユニバーソウル代表。MISIAをはじめ、AI、加藤ミリヤ、リリコ、華原朋美などの女性シンガーを中心にプロデュース活動を展開している。これまでに制作したCDの売上げは、3000万枚に及ぶ
山田 巧
作曲家/アレンジャー/ボーカリスト/ギタリストとして活動する中、ボイストレーニングスクールを運営。幅広いジャンルの楽曲の作曲/アレンジなどを担当しており、作曲を手がけたSKE48の楽曲「未来とは?」は、50万枚を超えるヒット曲となった
楽曲ができあがるまでの主な行程 ※上から順番に作業していきます |
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作詞・作曲 | 曲のメロディーや詞を決めていく作業 |
編曲 (アレンジ) |
メロディー以外の楽器を加えたりアレンジしたりして、楽曲を仕上げていく作業 |
レコーディオング | 歌やギターなどの楽器を録音する作業。DTMによるPC上の打ち込みのみで楽器音を制作している場合は、必要ない。レコーディングした生音と打ち込み音を組み合わせて使うことも多い |
トラック・ダウン (ミックス・ダウン) |
レコーディングした音や打ち込んで制作した音などの音量やバランスを調整してステレオ・2トラックにまとめる作業。ここで楽曲がほぼできあがる |
マスタリング | 音楽CDなどの用途に合わせて、楽曲の音圧レベルや音の聞こえ、データ量などを調整して書き出す作業 |
音楽再生機器メーカーが抱えるジレンマ
まずはこのプロジェクトの成り立ちから紹介しよう。
先述したが、ラックスマンのような音楽の再生機器を扱うオーディオメーカーは、音楽CDが持つ音質以上のものは引き出せない。そのため、音楽CDの良し悪しはそのまま表現されてしまう。メーカー側がどんなに技術を向上させても、流すべき楽曲の音質がそこに見合うものでなければ意味がないのだ。そして、音響メーカー側はその音質を積極的にコントロールすることはもちろん、制作行程を知ることもできない。そこで、音質の違いはどう生まれるのか? といったものを探るべく、これまで小島氏はサウンドプロデューサーなどとの対談を繰り返してきた。
一部のニッチなユーザーに特化した音作りをしてみる
小島氏が行ってきた対談の内容に共通するのは、「音楽を聴く側のユーザーのスタイル」だ。ネット環境や圧縮音源、ポータブルプレーヤーの普及で、音楽の楽しみ方は手軽になったが、それに伴い、聴く音楽の「音」そのものもコンパクトになってしまった。それが一般的であるのなら、流通する音楽の音質は、そこを中心に作られるのは当然だろう。
ただし、そうした中でも、「いい音」を楽しんでいる人は少なからずいる。もちろん、高級オーディオで楽しむオーディオマニアもいる。では、それらのニッチなユーザーに向けて、音作りをした楽曲というのはどういうものになるのか? というのが今回の最大の課題。ラックスマンのような老舗オーディオメーカーの機器で再生する──というのを前提にして、いまの行程をそのままに楽曲を制作してみようというわけだ。
そしてこの制作プロジェクトは、楽曲を提供する側の協力が不可欠。そんな中、ある5人組ガールズグループの楽曲制作チームが協力を申し出てくれた。
いわゆる「アイドル」と呼ばれるカテゴリーに属するガールズグループだが、なぜアイドルを選んだのか、という点については後述する対談内で述べられているので割愛しよう。今回の連載では、このグループの楽曲ができあがるまでの作業を取材しながら、「音」が作られていく様子を紹介していこうと考えている。もちろん、各作業の中心となる人物へのインタビューなども敢行。普段何気なく聴いている音楽の成り立ちを知ることで、多くの人へ「音」に対する興味を抱かせるのが狙いだ。
そこでさっそく、ラックスマンの小島氏、サウンドプロデューサーの与田氏、作曲家の山田氏を迎え、音楽CDの現状を中心に「いい音」について語り合ってもらった。
(次ページでは、「対談──現在の音楽CDのあり方に対する疑問」)
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