ダウンロードに続いて音楽ストリーミングがCDの売上を奪いつつある 写真:Todd Binger
北米の博物館学芸員は光ディスクを展示するためのガラスケースを見つけておいたほうがいい。
米レコード協会によれば、2014年上半期時点で音楽産業の売上全体に占める割合は、音楽ストリーミングが27%、28%を占めるCDやレコードなどフィジカルの売上に迫っている。インターネットラジオを含む音楽ストリーミングサービスの売上は8.6億ドル(約928億円)で前年比で28%増加した。
同調査によれば音楽売上の首位は音楽ダウンロードで41%だが、ダウンロード売上はシングルは前年同期比で11%減、アルバムが同じく14%減。ストリーミングが米国1位の座を奪う可能性も出てきている。
さらに米紙ウォールストリート・ジャーナルによれば、アップルの「iTunes」音楽ダウンロード売上は年初から13%から14%ほど下落したとされている。アップルは今年4月に音楽ストリーミングサービスの米ビーツ(Beats)を約30億ドル(約3239億円)で買収しており、ダウンロード市場の陰りを予期していたともとれる。
一方、日本レコード協会によれば日本国内において有料音楽配信の売上金額は2013年時点で417億円、1985億円を売りあげるCDを始めとしたフィジカル音源には及ばない。またフィジカルの売上は横ばいだが、有料音楽配信は前年比77%のマイナス成長。5年連続で減衰傾向が続いている。
しかし日本レコード協会によれば、日本国内において定額配信(サブスクリプションモデル)の売上は2013年度時点で31億円、小粒ながら前年度比304%の急成長を遂げている。定額配信のプレーヤーとしては「ディーヒッツ」NTTドコモや「リスモ・アンリミテッド」KDDIなど携帯キャリア、また「ミュージック・アンリミテッド」のソニーや「スマートパック」日本コロムビアなどレコード会社の関連会社が目立っているという。
日本においてはいまだフィジカルの売上が強いことから、スポティファイ(Spotify)のようなウェブ事業者を中心とした海外とは異なる市場環境が形成されつつある。店舗販売網の強さからもCD離れは起きていないが、スマートフォンの普及に伴ってストリーミングの芽は確実に育ちつつあるようだ。