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ソニーのハイレゾワールド第二章! 進化したヘッドフォンを検証!! 第1回

ドライバーから刷新! ソニーのハイレゾオーディオ新製品をまるっと解説!

2014年09月29日 12時00分更新

文● 鳥居一豊

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インナーイヤー型モデルは
新開発のBAユニット採用のハイブリッド型

XBA-Z5の外観。マグネシウム製のハウジングはブラック一色でXBA-Aシリーズとは異なる配色を採用。付属コードも耳に掛けるように装着できるタイプとなる

XBA-Z5の外観。マグネシウム製のハウジングはブラック一色でXBA-Aシリーズとは異なる配色を採用。付属コードも耳に掛けるように装着できるタイプとなる

XBA-A2の外観。ダイナミック型ドライバーの口径が12mmとなるため、ハウジングがやや小さい。また配色も両サイドのパネルがメタルシルバーになっている

XBA-A2の外観。ダイナミック型ドライバーの口径が12mmとなるため、ハウジングがやや小さい。また配色も両サイドのパネルがメタルシルバーになっている

 インナーイヤー型モデルは、最上位となるXBA-Z5を筆頭に、いずれもダイナミック型ドライバーと新開発のBA(バランスド・アーマチュア)ユニットを組み合わせたハイブリッド型となっている。

 XBA-Z5(10月18日発売 実売予想価格7万円前後)は、16mmダイナミックドライバーと、BAユニット2基(フルレンジ×1、HDスーパートゥイーター×1)による3ウェイ構成。再生周波数帯域は3Hz~40kHz、感度107dB/mW、インピーダンス32Ωとなる。

 XBA各モデルのデザインは共通したイメージではあるが、搭載するダイナミック型ドライバーの口径の違いによりハウジングの円形部分の大きさが異なっている。

 大きな違いは、XBA-Z5だけがトゥイーターの振動板にマグネシウムを採用していること。また、ハウジングもXBA-Z5だけがマグネシウム製となっている。このほか、ハウジング内の空気の流れを最適化するビートレスポンスコントロール、銀コートOFC線の採用などは共通だ。

新しいBAユニットの分解イメージ。緑の部分の「アーマチュア」がT字になった。また、アーマチュアが青い部分の振動板と直結している

新しいBAユニットの分解イメージ。緑の部分の「アーマチュア」がT字になった。また、アーマチュアが青い部分の振動板と直結している

 インイヤー型の新モデルすべてに共通する新開発のBAユニットは、従来のアーマチュアの形状を見直し、T型の対称形状のアーマチュアを採用。振動の対称性を高めている。

 また、アーマチュアと振動板を直接連結する構造とすることで、アーマチュアの振動をロスなく振動板に伝えることができるようになっている。こうしたユニットの新開発による音質向上は、BAユニット自社開発しているソニーの強みと言えるだろう。

 XBA-A3/A2/A1は、XBA-Z5のスタンダード版的な位置づけで、XBA-A3(10月24日発売 実売予想価格3万6000円前後)がユニット構成としてはXBA-Z5と共通の16mmドライバー+BAユニット2基となる。

 XBA-A2(10月24日発売 実売予想価格2万8000円前後)は、12mmドライバー+BAユニット2基、XBA-A1(10月24日発売 同1万6000円前後)は、9mmドライバー+BAユニット1基となる。

 再生周波数帯域は、XBA-Z5が3Hz~40KHz、XBA-A3が3Hz~40kHz、XBA-A2が4Hz~40kHz、XBA-A1が5Hz~25kHzとなる。この再生周波数の違いはユニット構成によるものが大きい。BAユニットが1基のみでスーパートゥイーターを持たないXBA-A1は再生周波数帯域がソニーの内部基準をパスできないため、同社のハイレゾ対応ヘッドホンには該当しない。

 感度は、107dB/mW(XBA-Z5)、105dB/mW(XBA-A3)、108dB/mW(XBA-A2)、107dB/mW(XBA-A1)。インピーダンスは32Ω(XBA-Z5/A3/A2)、24Ω(XBA-A1)となる。

 このほか、コードの着脱および別売ケーブルを使用してのバランス接続には、XBA-Z5/A3/A2が対応となっている。

ポータブルヘッドホンアンプは、バランス接続対応の最上位モデルが登場!!

「PHA-3」を手前から見たところ。ボディー形状はサイドが円形にラウンドした形状になっている

「PHA-3」を手前から見たところ。ボディー形状はサイドが円形にラウンドした形状になっている

 ポータブルヘッドホンアンプは、通常のヘッドホン出力に加えて、バランス出力にも対応した最上位モデル「PHA-3」(10月18日発売 実売予想価格10万円前後)が登場する。

 バランス接続のための出力は、口径3.5mmのステレオミニ端子×2で、接続には対応したケーブルが必要になる。これに合わせて、ソニーからMDR-Z7用、MDR-1A用、XBA-Z5/A3/A2用にバランス接続用ケーブルが発売される。

PHA-3の基板。ESSのD/Aコンバーターを搭載

PHA-3の基板。ESSのD/Aコンバーターを搭載

 PHA-3は、D/AコンバーターにS/Nや耐ジッター性能に優れるESSの「ES9018」を採用。出力段のヘッドホンアンプに「TPA6120」を2基搭載するなど、高性能パーツを贅沢に採用している。

 バランス出力を備えたこともあり、パワーアンプ回路や電源部もさらにグレードアップした内容となっている。PCなどとのUSB接続時は、最大リニアPCM384kHz/32bit、DSD2.8MHzに対応。

 さらに、ウォークマン、Xperia、iPhoneなどとのデジタル接続に対応し、ウォークマンならば最大192kHz/24bitのリニアPCM音源に対応するなど、携帯プレーヤーでのハイレゾ再生も可能だ。

 また、ソニー独自のデジタル技術でCD品質の音源などもハイレゾに近い音質で楽しめる「DSEE HX」も搭載。ウォークマンなどに搭載されている高域の周波数帯域の復元やビット拡大を行なうもので、CD音源やMP3音源などもより高音質で再生できるようになっている。

手前側の接続端子。ヘッドホン出力用の端子はすべて真鍮パーツで頑丈に固定されている。電源インジケーターのほか、ハイレゾ信号入力時、DSD信号入力時に点灯するインジケーターもある

手前側の接続端子。ヘッドホン出力用の端子はすべて真鍮パーツで頑丈に固定されている。電源インジケーターのほか、ハイレゾ信号入力時、DSD信号入力時に点灯するインジケーターもある

反対側には接続端子を搭載。入力端子は、microUSB、USB B端子、光デジタル音声入力、アナログ音声入出力がある。入力と出力はそれぞれ上部のスイッチで使用する端子に切り替える。このほか充電用のmicroUSB端子もある

反対側には接続端子を搭載。入力端子は、microUSB、USB B端子、光デジタル音声入力、アナログ音声入出力がある。入力と出力はそれぞれ上部のスイッチで使用する端子に切り替える。このほか充電用のmicroUSB端子もある

側面にゲイン調整とDSEE HXのオン/オフ切り替えがある

側面にゲイン調整とDSEE HXのオン/オフ切り替えがある

 内蔵バッテリーは、アナログ接続で約28時間、デジタル/バランス接続時で約5時間となっている。多彩な入出力端子を備え、PCをはじめとして多彩な機器とのデジタル接続ができるようになっており、高音質派にはバランス接続も可能と、よりマニアックな使い方も楽しめるモデルだ。

次回から試聴レポート編に突入!

ソニーが社運をかけるハイレゾ製品群新製品。その実力を次回からチェック!

 今回のソニーの新モデルは、携帯プレーヤーとヘッドホンがメインで、ミニコンポや単品コンポなどは従来の製品が継続して販売される。ユーザーが多く、注目度も高いポータブル機やヘッドホンによるハイレゾ再生の普及をさらに進める狙いだろう。

 個人的には、オーバーヘッド型やインイヤー型の上級モデルの投入が気になるし、まだまだマニアックな印象が強いバランス接続にも対応してきた点も見逃せない。さまざまなユーザーのニーズに合わせたラインナップの充実度は、他社にはなかなか真似のできないところでもある。

 次回からは、いよいよこれらの新製品の音質や使い勝手をじっくりとチェックしていく。ヘッドホン各モデルの音質はもちろん、気になるバランス出力の実力も試したい!

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