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Startup Asia Tokyo 2014

求人ってウソつきの業界ですね

2014年09月08日 07時00分更新

講演● ビズリーチ 南 壮一郎 文● 盛田 諒(Ryo Morita)

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2014年9月4日「Startup Asia Tokyo 2014」講演より。求人マッチングサービス・ビズリーチ代表取締役 南 壮一郎CEOが創業のきっかけを語った。世界的に見ても日本の採用が非効率的でコストが高い理由の1つは、昔ながらの「ウソつき」な求人業界にあったという。

ビズリーチ 南 壮一郎CEO

 日本は世界で最も人材採用が難しい国といわれている。調査会社によれば、採用が難しいという企業は世界平均で34%なのに、日本国内では80%を超えている。日本はなぜ採用が非効率的でコストが高いのか。

 わたしは楽天イーグルスというプロ野球チームを立ち上げていたが、6年前に転職活動をしてみたことがある。27社くらいの転職会社を回ってみたところ、すべて違う会社を紹介してきた。何かがおかしい。インテリジェンスの島田(亨)さん(楽天野球団取締役)にフラストレーションをぶつけたところ、人材業界について詳しく教えてくれた。

 「えっ、これウソつきの業界ですね」というのがわたしが最初に発した言葉だった。


人的リソースの「仕入れ」をしていた

 ウソつきというのは2つ理由がある。1つ目は、人材業界は非常にシンプルなビジネスモデルのはず。企業があって採用ニーズがある。自分で探せないから人材企業にお願いする。企業の代わりに探してくる。ある種の代理店。異論もないし素晴らしい商売だと思う。成功報酬ベースで手数料を払う。

 明らかにおかしいと思ったのは人材会社と働き手の関係。適職を探すのが仕事だというが、実は自分が契約している企業の案件しか紹介できない。契約企業の案件を売り込むのが商売の本質。もっというと契約企業に(顧客が)転職しないと売り上げが一銭もあがらない。

 生々しい言い方をすれば、企業に対して人材の「仕入れ」をしていた状態だった。

 もっとおかしいと思ったのは、車内広告に「あなたに必要なのはプロのアドバイスです」「つぎの私は、プロとはじめる」などと書いてある。プロとは何か。人材を探すプロなら分かるが、適職を探すプロではないはず。たまたま持っている数パーセントの案件が適職か。そうではない。だから(ビズリーチ創業前、車内で見た求人広告を)ウソつきと言った。

 もっと大きな問題があるとも伝えた。

 人を雇いたい企業、仕事を探している求職者はすごくマッチングがたやすい。にも関わらず、なぜブラックボックスをあいだに設けているのか。企業がどういう人材を雇いたいかを理解し、能動的に採用活動がしづらいほど人材業界には都合がいいからではないか。

 自らの選択肢を理解するほど、キャリアデザインができづらいほど、人材業界には都合がいい。企業は何も考えず採用人数を丸投げしてほしい。求職者は、不安になって駆け込み寺のように駆け込んでほしい。

 つまり、市場原理にまかせず自分の案件だけで成立させるのが人材業界の望んでいることだ。


日本の採用を「肉食化」したい

 わたしも楽天で働いていたが、10~20年前の小売業も同じ状態だった。

 小売業は流通のブラックボックスに支配されていた。可視化された市場を作ったのが楽天だった。なぜ採用市場において同じことができないのか。透明性が高く、直接やりとりできるマーケットプレイスがなぜできないのか。そう話したところ島田さんから「やってみたらいいじゃないか」と言われた。

 海外を調べてみたところ、採用市場はすでに可視化されていた。Linkedin、indeed、モンスター、キャリアビルダー、ジョブストリートなど。世界は人材サービスに依存するのではなくダイレクトリクルーティングといって、採用企業と求職者が相互にアクセスできる仕組みがあった。日本だけが圧倒的に非効率で圧倒的に採用コストが高い国だということを発見し、5年半前にビズリーチを立ち上げた。

 企業が主体的・能動的に人材を見つけに行くことで、楽天が小売業でやったイノベーションを人材業界でもやろうじゃないかと。

 最初は人材がアナログだった年収500~600万円の管理職・専門職に限った。当たり前のようにダイレクトリクルーティングをやっていたグローバル企業が使いはじめ、最近では日系大手グローバル企業にも徐々に浸透している。数多くのベンチャー、Uber、airbnb、Supercellなどにも活用いただいている。

 ビズリーチは5年間で300人規模の会社になった。今年200人の採用を予定している。企業側のニーズが増えているから。世界ではすでにダイレクトリクルーティングの採用活動が始まっている。

 ぼくたちがやっていきたいのは日本の採用市場の可視化。

 いまや三次産業もサービス業に変わっている。終身雇用・年功序列の働き方では、サービス業には貢献できない。今後は雇用の流動性を促進することで、日本の採用・働き方を「草食」から「肉食」にしたい。自分たちの新しい働き方を作っていきたいなと思っている。


※本文は講演内容を編集したものであり、発言内容・発言順序の同一性を保証するものではありません。


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