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なぜiMessageスパムがあふれているのか、その理由

2014年09月03日 16時00分更新

文● Adriana Lee via ReadWrite

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「iSpam」の時代がやってくる?

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アップルがiMessageを生み出してから2年間、このメッセージ・システムは、iPhoneとMacユーザーにとって神の啓示とでも言うべきものであった。通信事業者に(あるいはさらに言えば電話にさえ)依存することなく、他のアップルユーザーにメッセージを送信することができるのだ。誰もその利便性について不満を持つことはなかった。しかし残念ながら、SMSの約束の地は汚されてしまった。

このシステムには、いくつかの問題が生じた。その最新のものは「スパム」というひと言で十分だろう。

Cloudmarkのセキュリティ研究者トム・ランデスマンは、以下のようにWIREDに語っている。アップルのシステムを汚している、一大スパム・システムが存在している。しかし彼も会社も、iPhoneを攻撃している当事者や関係者の正体を掴みかねている、と。

彼が確実に言えることは、このスパム・システムが、実に多くのスパムSMSを送信していること。そして、iMessageは、すべてのモバイルが受信するスパムメッセージの30%以上を占めている、ということである。

なぜアップルは無意識の内にiSpammerに手を貸すことになったのか

iMesssageの最も便利な機能の一つは、iPhone、iPad、iPod TouchおよびMacコンピュータにまたがって働くものだ。これは同時に、スパムにも扉が開かれている状態とも言える。「アップルスクリプトで書いた4行のコードで、あなたはMacから誰にでもメッセージを送信することができます」と、ランデスマンは語った。

その機能のおかげで、アップルのガジェットは急速に、安価なサングラス、偽物のハンドバッグ、怪しげな通販医薬品といった世界への入り口になりつつある。

iSpam

これが、私の実際の携帯電話のスクリーンショットだ。スパム業者にインタビューを申し込んでみたが、おそらくボットだろう。

以前の携帯電話スパム業者は、電話番号をランダムに送信するだけだった。しかし、iPadおよびMacユーザーの場合、iMessageが電子メールより優先的に使われるため、スパム業者は、その汚いビジネスの新手法を得たのだ。さらに悪いことに、アップルは無意識のうちに彼らに手を貸してしまったのだ。

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おっと!Macデスクトッププログラムに電子メールまたは電話番号を入力するだけで、誰がiMessageのユーザーか分かってしまう。

ユーザーに向けた便利な機能が、スパム業者にとっては効果的な武器になってしまう。MacのiMessageアプリケーションに番号または電子メールを入力すれば、iMessageに登録されているか分かってしまうのだ。この方法を自動化すれば、数百あるいは数千件を調べるのも容易い。さらに、「開封確認メッセージ」機能さえあり、業者がスパムメールの開封状況を知ることさえできてしまうのだ。

こういった機能を利用する業者を突き止めるのは容易ではないだろう。誰もがiMessageに登録することができるうえに、メールアカウントの種類も問われないし、いくつ登録しても問題ないのだ。

通信事業者は笑っているに違いない

携帯電話のスパムは、携帯通信事業者にとって実に大きな問題であった。しかし彼らは、今ごろ笑っているに違いない。iMessageが、彼らのネットワークを経由し、お金を落としてくれるからだ。

彼らは傍観して、高笑いを浮かべながら不正行為を眺めることができる。この大量のiMessageのスパムが、勝手に利益をたくさんを持ってきてくれるのだから。

努力は足りてはいないが、アップルは、現実から完全に目をそむけているわけではない。ランデスマンは、同社の「レート制限」ポリシー(次々と繰り出されるiMessagesをブロックするための回数による制限)、また迷惑メッセージのスクリーンショットや送信者の連絡先の詳細を電子メールで送信する、ユーザー報告プロセスについても述べている。

そんなことをしてもiSpamをせき止めるどころか、時間の経過とともに悪化してしまうだろう。アップルがこういった詐欺行為を阻止したいなら、これまでの中途半端な対策以上のものが必要になる。

iOS -OS Xのメッセージング・サービスは、最近いくつかの問題に苦しんでいる。昨年の春、あることが見出しを大々的に飾った。電話番号を変更せずにOSを変えると、テキストを送受信できないというバグが明らかになったのだ。

アップルもCloudmarkのトム・ハンデスマンも、この件に関する質問に回答していない。

画像提供:Adriana Lee

Adriana Lee
[原文]


※本記事はReadWrite Japanからの転載です。転載元はこちら


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