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「お見せできないのが残念なくらい、キツいチェックを入れています」とのこと

試験は30種類! PCよりも厳しい管理下で開発されるiiyamaディスプレー

文●林佑樹

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 「マウスコンピューターに聞きたいことはあるか。遠慮なく、ああ、遠慮なくだ!!」という編集氏の打診で始まった、マウスコンピューターの飯山工場取材。第1回は、電源ユニットが”ド安定”した理由を開発本部デバイス技術部の黒岩司氏から聞き出し、『マウスコンピューターの電源の“ド安定化”は厳しすぎる品質確認が生み出した』として紹介した。続いては、お世話になっている人も多いであろうiiyamaディスプレーについてのインタビューだ。

 iiyamaは現在、マウスコンピューターの液晶ディスプレーのブランド名であり、ゲーミング向けのディスプレーからデジタルサイネージまでを手がけている。取材に応じてくれたのは、品質管理部門と開発室のおふたり。PCを使用する以上、常時、目視されるデバイスだけにその姿勢や品質管理レベルは、とても高く設定されている。マウスコンピューター製品の品質管理は、iiyama部門がベースになっているといってもよく、その背景には各国の安全規格があるという。そんなわけで、第1回の遠慮のないインタビューに続いて、気になっていた液晶ディスプレーについても、あれこれ聞いてきたので、その様子をお届けしよう。

iiyama事業部開発室室長・下田正和氏

iiyama事業部品質管理主任・経塚博康氏

--ディスプレーの品質管理についてお伺いしていくのですが、そもそもディスプレーの品質チェックとはなんでしょうか。一般的なユーザーさんはまず知らない世界なのでお教えください。

下田: この場合の品質は、設計品質、製造品質、市場品質という3つが大きな柱となります。飯山工場にいるiiyamaの部隊は開発部門と品質管理部門ですが、我々開発部門で主に見ている部分は、設計品質ですね。設計品質を確保するために、設計仕様どおりに製品化が実現できているか、環境試験も含め、各信頼性試験をパスすることで製品の信頼性が確保できているかどうかを見るわけです。

--設計品質には、製品寿命に関する事も含まれているのでしょうか?

下田: もちろんです。お客様に安定して長期的に使っていただけるというのが、設計品質の最低条件です。

後述する品質テストは軽いものだけの実演だったが「お見せできないのが残念なくらい、キツいチェックを入れています」という下田氏

--どういった工程で品質チェックをしているのでしょうか?

下田: 設計段階のところで、1次試作で同じ試験をやって、2次試作で同じ試験をします。そして量産前にもパイロットラン試作を実施し、最終試験を行なうのです。1次と2次とで行なう試験は30種類以上ありますが、その試験をパスしないと次の開発工程には進めないルールとなっており、製品の品質をキープしています。
 30種類以上の試験の中には、たとえば高温低温環境で稼働して問題ないかどうかの試験もあります。また、ディスプレーの動作温度は5℃から35℃なのですが、0℃とかマイナス10℃の低温環境で正常に起動するかどうか、起動したときに異常が発生しないかも確認します。
 また長期的に使用して問題がないことを確認するために、40℃の高温環境下に通電放置させて製品の寿命を加速させることで、異常が起こらないかどうかも試します。こちらは、製品の販売終息以降も試験継続しモニタリングしています。

長期ライフ試験室では、環境温度40度に設定してディスプレーの長期運用を前提にした試験をしている

--電源や表示回りも同様にキツいチェックを入れているのでしょうか。省電力化が進んで、楽になっている部分もありそうなのですが。

下田: 電源ユニットは、ディスプレーを安定して使用する上で、目立たない存在だが大変重要な部品です。そのため、絶縁体圧、漏れ電流、絶縁抵抗など様々な試験を実施することで安全性を確保しています。また、ディスプレーは必ず熱を持つので、各パーツの温度を測定し、定格内で使用されていることの確認も徹底しています。

(次ページ、「品質テストのほんの一部をみせてもらう」に続く)

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