25年目のCisco Live! テーマは“IoE”と“Fast IT” 第5回
「Cisco Live 2014」基調講演で語られた、IoEの現在と企業のビジネス変革
「IoEは未来ではなく、すでに現実」シスコ・チェンバースCEO
2014年06月04日 06時00分更新
サンフランシスコで先月開催された「Cisco Live US 2014」。シスコシステムズ会長兼CEOのジョン・チェンバース(John Chambers)氏の基調講演では、あらゆる企業に求められる変革と、それを支えるITのあり方、そして現実化し始めた「Internet of Everything(IoE)」の最新事例などを紹介した。
「変わらなければ生き残れない」25年を生き延びたシスコ
今回のCisco Liveは、前身のカンファレンス「Cisco Networkers」がスタートした1989年から数えて25年目に当たる。節目の年を祝福する華やかなムードが漂う会場で、しかし、チェンバース氏がまず聴衆に向けて口にしたのは、現実を直視した厳しい言葉だった。
「これから5年もしないうちに、皆さんはIT産業において『過酷な整理統合(brutal consolidation)』を目の当たりにすることになるだろう。それは、市場の上位5社プレイヤーのうち、2、3社しか生き残れないような世界だ。(企業同士が)連携しあうといったレベルではなく、ほとんど『いす取りゲーム』のような混乱(disruption)が起きる」
1989年からの25年間を振り返り、チェンバース氏は、それぞれの時代でシスコと競合した多くのITベンダーが姿を消し、あるいは勢いを失ってきたことを指摘する。「市場トップクラスの企業でも、たった10年ですら、その存在を維持するのが難しいことがわかる」。
こうした激しい変動はあらゆる業界で起きつつあることであり、皆さんにとっても他人事ではないのだと、チェンバース氏は会場の聴衆に語りかける。「市場、経済、テクノロジー――それぞれの変化のスピードが、これまでになく速くなっている」「われわれはどちらのサイドにいるのか。生き残るほうか、消えていくほうか」。
生き残りの鍵の1つが「イノベーションのスピード」だ。チェンバース氏は、シスコでは3年前の「2倍のスピード」で技術イノベーションに取り組み、アイデアを実現してきたと語る。たとえば、今回発表されたAndroid搭載のコラボレーションデバイス「DX80」(関連記事)は、1年間の開発期間でリリースされた。また「ACI(Application Centric Infrastructure)」は、最初の全体コンセプトが出来てから21カ月後には製品化されている。「Nexus 9000」データセンタースイッチが搭載するASICも、開発期間は14~16カ月だという。
さらにシスコでは、“3つのシンプルな原則”に則ってビジネスを展開しており、それが競合との持続可能な差異(sustainable differenciation)を生んできたと、チェンバース氏は説明する。「マーケットの変化をいち早く察知し動くこと」「機能のニーズから価格まで、顧客の声を聞くこと」「多数の製品/サービスがシームレスにつながるアーキテクチャを用意すること」の3つだ。
「変わらなければならないということを、シスコは知っている。皆さんもまた、変わらなければならないと自覚しているだろう」
(→次ページ、あらゆる企業が、自らを「テクノロジーカンパニー」と再定義し始めた)
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