やたらとハイスペックな「NEXTGEAR-NOTE i1110」を使ってみる
岡田太一氏いわく「けっこう使えそう!」
ARRIRAWも動く? 60万超えノート「NEXTGEAR-NOTE i1110」は映像現場でのプロ用途に耐えるのか
チェックに使用する形式を紹介
まずはチェックの前に、ディスプレーだ。微妙に発色が悪く、厳密なカラーコレクションには不可能だと判断した。しかし岡田氏によれば、だいたいマスターモニターを持っていくのでこの点は気にしないそうだ。ディスプレーの発色はコンシューマー用途で見ると十分だが、写真現像の場合は発色に難がある。筆者もレビューの合間に業務使用してみたが、別途モニターを用意することが多かった。
今回使用したデータは次の通り。
- ARRIRAW
- REDCODE
- Quicktime ProRes HQ
- DPX連番
これらのファイル形式を使用して、DavinciResolveで再生をしたり、カラーコレクションをリアルタイムで実行したりといったチェックをした。あまり目にしないアプリケーションとファイル形式なので、先にどういったものなのかをカンタンに紹介しておこう。
Blackmagic Design製DavinciResolveは、カラーコレクション用のアプリケーションだ。現状GPUをもっとも効率よく使用してくれるため、映像処理についてのベンチマークとしても活用されているそうだ。GeFroce GTX880MでSLIを構成しているため、チェックにはちょうどいいアプリケーションである。なおDavinciResolveはフリー版も用意されており、気になる読者はインストールしてみて挙動を確かめてみるのもいいだろう。ただし要求条件が高めなので、アプリケーションが起動するノートPCは少ない。
ARRIRAWは、デジタルシネマ用のRAWコーデックだ。CCDのベイヤーパターンをそのまま記録しているため、主だったデジタルカメラのRAWと性質は同じと考えていい。ただし動画なので、1秒間に24~60枚のデジタル現像を連続で行なうことで、動画として表示できる部分はデジタルカメラと異なる。仕組みとしては、1フレーム1ファイルとシンプルなものだ。最大で3K(2880x1620ドット)、各色12bit(36bitカラー)のベイヤードデータを非圧縮RAWとして記録し、ビットレートは1.74Gbps (223MB/sec)。
REDCODEは米レッドデジタルシネマカメラ社のRAW動画コーデックで、圧縮RAWと珍しいものになる。展開と同時に現像処理を実行する必要があり、再生するだけも相当は負荷がかかる。たとえば5Kで23.976fpsなら320 Mbps(40MB/sec)になり、専用アクセラレーター前提なのだが、これが動くかどうかもチェックする。
Quicktime ProRes HQは、映像業界でよく使用されるフォーマット。フルHDの場合は、180〜220Mbps(22.5~27.5MB/sec)程度のビットレートになる。またUHD(3840×2160ドット)/23.976fpsの場合は、1.15Gbps(148MB/s)とREDCODEよりも大きくなる。
DPX連番は非圧縮の静止画フォーマット。1フレーム1ファイルで再生するもので、映像業界におけるマスターデータとしてよく使用されている。構造自体は連番ファイルでCPU負荷は低いが、UHD(3840x2160)/23.976fpsの場合、5.93Gbps(758.62MB/sec)であるため、ストレージの転送速度が重要になる。
(次ページ、「テスト結果やいかに!」に続く)