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インフラとアプリケーションを確実に結びつけられるSIとは?

EMCを支えるフルスタックエンジニアカンパニーCTCの底力

2014年05月22日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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2013年のEMCパートナーアワードの「総合部門 EMC Partner of the Year 2013」に輝いたのは、製品販売、サービスの両面における積極的な活動、協業体勢の強化を推進した伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)だ。CTC 常務執行役員 ITサービス事業グループ担当役員 兼 CTOの大久保 忠崇氏に、受賞の背景や同社ならではのバリューについて聞いた。(インタビュアー:ASCII.jp 大谷イビサ)

EMCの描いている戦略を理解して売っている

ASCII.jp 大谷:「総合部門 EMC Partner of the Year 2013」の受賞おめでとうございます。まずは2年連続で受賞した感想を聞かせてください。

大久保氏:非常にありがたいと思っていますが、その一方で1990年代から長い間つきあってきたご褒美だとも思っています。長い歴史の中で、コンスタントに成功を上げ続けるのは難しいし、守りに回った年もありましたけど、今年はうまくいった年でした。

伊藤忠テクノソリューションズ 常務執行役員 ITサービス事業グループ担当役員 兼 CTOの大久保 忠崇氏

ASCII.jp 大谷:受賞した理由をどうお考えですか?

大久保氏:まずは実績をご評価いただいたのが1つ。もう1つはEMCの会長兼CEOであるジョー・トゥッチ氏が描いている戦略をきちんと理解して販売していることだと思います。

たとえば、私が感心しているのは、EMCの買収戦略。ストレージ製品を中心にしたSoftware-DefinedについてはEMCがやるけど、その他の開発や仮想化の周辺分野を担うVMwareやPivotalなどはニュートラルな立場を維持しています。こういう相手だとパートナーとして組みやすいです。

ASCII.jp 大谷:市場を見た場合、2013年はどういった年でしたか?

大久保氏:2013年はEMCと共に、お客様の多様なニーズに応えられたと感じています。EMCというと従来はメインフレーム系ストレージのイメージが強かったですが、巨大なデータを扱えるIsilonやボリューム重視のVNXやVNXeも登場し、さまざまな案件に対応できました。製品面ではIsilonのようなストレージはやはり面白いし、今後主流になってくると思います。

また、こうしたハードウェア製品のビジネスのほか、VMwareやPivotalのような新しいソフトウェアの流れについても、いち早くキャッチアップできたと思います。Pivotalに関しては、OpenStackなどのソフトウェア化への対応や運用の自動化モデル、Cloud Foundryの提供するアプリケーション環境などに期待しています。ViPRに関しても、EMCと共同でどのように展開していくかを練っているところです。

このようにストレージビジネスに関しては、お客様のニーズの多様化に対応していくのが、これからのチャレンジ。今後は“ハコモノ”のストレージから、その周辺やソフトウェアまで巻き込んで行く必要があります。EMCさん自体もそういった部分に投資を行ない、変化を狙っています。EMCさんのこの方向性とCTCのビジネスがうまく合致したというのが2013年の感想です。

従来型ストレージのニーズはいまだに高い

ASCII.jp 大谷:多様化という点だと、信頼性最優先の従来型ストレージの伸びを、安価でスケールアウト前提のクラウド型のストレージが食っているようなイメージがありますが、ここらへんの市場感はどうですか?

大久保氏:日本では正直言って、まだまだ従来型のストレージのニーズは高いです。日本のお客様はメールだろうと、マーケティングだろうと、データをあまねく丁寧に扱います。安いストレージに投げ込めばいいという意識があまりないんです。あと、インソース率の高い米国に比べ、少ないリソースの中でやりくりされている日本のお客様はサポートがしっかりし、メーカーが保証した製品を好みます。ですから、たとえば構造化データは、きちんと従来型のストレージを使います。このビジネスは我々にとってもやはり主戦場です。

「日本のお客様はデータをあまねく丁寧に扱う。従来型ストレージのニーズはまだまだ高いです」

ASCII.jp 大谷:とはいえ、クラウド型ストレージなどの取り組みも積極的に進めていますよね。

大久保氏:今年、メディア系のお客様がIsilonを買ってくださったし、Pivotal HDに関しては国内初の事例を手がけることができました。しかも、単に技術的な興味で使ってみたいではなく、並列処理にしろ、Hadoopにしろ、本当にストレージのバリューを理解した上で導入していただいたのが印象的です。

ASCII.jp 大谷:EMC製品の拡販のために、どのような取り組みを行いましたか?

大久保氏:EMCさんと共同で継続的にキャンペーンは張らせてもらいました。VMAXのような大型案件はリプレースの波に合わせて施策を打ってきましたし、昨年来は急速に伸びてきたVNXに対する施策や、IsilonとPivotalを組み合わせた提案などいろいろやりました。もちろん、すべてが当たったわけではないですが、市場の要求にあわせて、施策はつねに打ち続ける必要があります。その点で、EMCと歩調をあわせて仕掛けられた年だと思っています。2014年は手薄になっていたSMB市場を強化する作戦を練っています。

ASCII.jp 大谷:EMCの優位点とはどこだと思いますか?

大久保氏:EMCは超大型のVMAXからSMB向けのVNXeまで非常に強いラインナップを持っています。ミッションクリティカルなハイエンド製品はEMCが圧倒的に強みを持っていますが、プライスパフォーマンスが重要なローエンドモデルでもきちんと勝負しています。

ただ、ストレージ自体をスペックで比べるのは、もはやあまり意味がありません。その意味では、戦略とリンクしているかどうかが大きなポイントですが、ViPRのようなSoftware-Definedの戦略を聞いてみると、納得できるんです。

フルスタックエンジニアカンパニーとしての強み

ASCII.jp 大谷:EMC製品を購入するお客様にとって、CTCならではのバリューはなんでしょうか?

大久保氏:たとえばサーバーとの相性。アプリケーションを動かしたり、最適な構成はどんなものか、検証してからお客様にお届けできます。なにより、我々のクラウドでもEMC製品を使っていますので、使い方やバックアップの仕方は我々自身が使いながら、踏み込めます。

ただ、本質的なバリューは、ITがどのような価値を提供できるかの方向性をお客様と共有し、その方向性を実現するための仕組みを提供することです。たとえば、ViPRも弊社で検証を行なっているのですが、メーカーさんが考えるバリューとお客様が考えるバリューは違うかもしれません。その組み合わせをきちんと作って、お客様に証明しながら提供するのが大きなバリューです。

ASCII.jp 大谷:こうしたバリューを提供できるCTCの強みは、今後も拡大していきそうですね。

大久保氏:CTCというと、ハードウェアのイメージがありますが、実はソフトウェアの受託開発を6000人/月くらいやっており、すでに売り上げの1/4に上っています。また、ハードウェアの販売だけでなく、保守体制も数千人単位でいますし、自前のデータセンターも、ファシリティを管理する会社もあります。つまり、上流から下流まで自社リソースでやっているんです。こんなフルスタックなSIerは、それほどないはずです。

最近、社内でも話していることですが、いろんな製品の設定ができても、それは「設定屋」に過ぎません。マニュアルは頭に入っていても、インフラ構築とは言わないんです。その点、アプリケーションにあわせて悩みながらインフラをチューニングしてきたり、アプリケーションを書きながら、自分の希望をインフラ側に要求してきたエンジニアが、求められる。こうしたエンジニアを抱えた我々は、インフラとアプリケーションの結びつきをきちんと検証できるし、両者はより密に結合していきます。そうなると、フルルスタックエンジニアカンパニーとして弊社の強みがますます活きると考えています。

ASCII.jp 大谷:最後にEMCに対して期待することをおねがいします。

大久保氏:「CTC=商社系」というイメージがあるかもしれませんが、我々は右から左にモノを流していくようなビジネスはしていません。我々ならではのバリュー(価値)をお客様に提供するようなビジネスを追求しています。ですから、どのような価値をお客様に提供できるか、きちんと共有できるEMCのようなメーカーは、私たちにとっても大切なパートナーです。

ですから、これまでと同様、EMCグループで展開しているバリューを高めるための活動を、今後も継続して欲しい。EMCが提唱しているSoftware-Definedの流れが進み、ハードウェア、ソフトウェアの垣根がなくなっていく時代に突入していく中、我々は間違いなくいいポジションにいます。このバリューをEMCはもちろん、お客様にも、きちんと理解していただきたいと思います。

「EMCグループで展開しているバリューを高めるための活動を、今後も継続して欲しい」

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