Teach For Japan 松田氏に聞く、ITと教育の関係
正解主義から脱却し、20年、30年先の時代を逆算した教育を
2014年05月14日 11時00分更新
遠藤 たとえが変かもしれないですけど、客に文句を言うレストランってありえないですよね。私の知り合いに有名店の元シェフがいるんですが、彼はレストランには“ウェルカム”しかないと言っていた。だから、うまくいかないのは運営側にあると考えるべきですよね。
松田 はい。店の雰囲気、接客、料理。そういうものの設計と同じです。「あいつらには俺の味が分からない」と言ってもしょうがないじゃないですか。でも教育の現場ではそう正当化する風潮がある。そして、それに甘んじてしまっている。なのに、その店は倒産しない。そこに違和感があってですね。どうすれば子どもと向き合う大人を増やしていくことができるのかと考え始めました。
もちろん教員として学校の現場に残り続けるという選択肢もあったはずです。自分がロールモデルになって、40歳、50歳になっても熱い思いを持って後輩の手本になる。でも聞けば、学級崩壊を招いた教員も昔は熱かったらしい。教育がきらい、あるいは子どもが嫌いで教職に就く人はいないんですね。何かしら思いを持って現場に入る。
遠藤 そうですよね。
松田 でも不思議なことに、時間がたつにつれて、その火が消えていく。もしくは打ちのめされてしまう。そういうことがあると気が付いたんです。
遠藤 なるほど、難しいですね。
松田 そして急に自信をなくしてしまったんです。自分も熱い思いを持っているけれども、やり切れるかどうかのロジックが組み立てられない。自信がないのに私は子どもの前に立つべきなのだろうかと。もっと違った形で、熱い思いを継続できる仕組みはないのだろうかという点に興味を持ち始めたんですね。
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