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スマホの動画視聴が当たり前になると困るのはグーグルだ。

2014年04月15日 03時15分更新

文● 松下 康之/アスキークラウド

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「スマホの動画視聴が当たり前になると困るのはグーグルだ」というと、逆説的に聞こえるかもしれない。いや、YouTubeを持っているグーグルがそんなことになるはずがないと思われる方も居るだろう。ゲームデベロッパーの世界ではちょっと違う様子を呈しているようだ。まずは米国Venture Beatが発表したモバイルゲームデベロッパーに対する調査に関するニュースを紹介しよう。

300M downloads and $600M in revenue say Google is the ‘loser’s choice’ in mobile games monetization:
http://venturebeat.com/2014/04/14/300m-downloads-and-600m-in-revenue-say-google-is-the-losers-choice-in-mobile-games-monetization/

 Venture Beatによると176のゲームデベロッパーに対する調査の結果として、ゲームタイトルを11以上リリースしている会社はマネタイゼーションの方法としてグーグルを選んでいないという。母集団は176社、リリースしているゲームの総数は11,000、ダウンロード総数は3億以上という企業群に対する調査である。ここではVungleAdColonyといった企業が提供するゲーム内で表示されるビデオ広告が売上やeCPM、ユーザーのエンゲージメントなどにおいて高い評価を得ているということが示されている。

 この調査ではゲームにおける最も利用が多いマネタイズの方法はインタースティシャル広告(アプリの遷移途中等に表示される広告)と無料アプリ内のアイテム販売をそれぞれ50.3%、49.7%であるとし、その後にバナー広告(40.8%)、ビデオ広告(34.7%)と続く。また3番目のバナー広告が実は最も売上に貢献しない形態であるということが明らかにされている。つまり古い形式の「利用を邪魔するようなバナー」はユーザーから嫌われているということを表している。

 ゲームの合間に表示される新しいゲームのプレイ動画を見て思わずダウンロードしてしまう、というのはあり得る状況だし、スマホやタブレットで動画を視聴するのはもはや当たり前だ。10代に至っては既に4割がほぼ毎日スマートフォンで動画をみる習慣が付いている。

 スマートフォンでの動画視聴経験は8割超、1日平均視聴は34分:
http://www.hakuhodo.co.jp/archives/newsrelease/16784

  だが何よりもゲームというコンテンツに連動した非常にマネタイズ力が強い広告というジャンルでグーグルが選ばれないというのはグーグルにとっては危機感を強めるべき状況だろう。YouTube自体は音楽アーティストがPVを載せることやCGMによって利用が伸びているが、肝心の広告自体が思わぬところから崩され始めているという状況だ。

 米国のFreeWheel TVというComCastに買収されたビデオ広告の会社が発表した最近の調査でもスマートフォンやタブレットでのビデオ広告の視聴は2012年から2013年にかけてスマートフォンで178%、タブレットで136%の成長をしているという。反対にPCでの視聴は19%というスマートフォンやタブレットに比較すると低い成長率に留まっている。

Boom! As mobile video ads explode, Hollywood cashes in:
http://www.usatoday.com/story/tech/columnist/shinal/2014/02/27/mobile-video-ad-sales-boom/5843135/

 既にモバイルブラウザでWebページを閲覧するという行為自体が減り、アプリケーションに移行が進んでいるにもかかわらず、アプリ内広告の主導権を握れないグーグルがモバイルビデオ広告の企業を買収するのも時間の問題かもしれない。

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