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アスキークラウド・イノベーションセミナー レポート

スマートニュースと無印良品にウェブの未来を見る

2014年03月25日 17時00分更新

文● 澁野義一(Giichi Shibuno)/アスキークラウド編集部

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3月24日、「アスキークラウド・イノベーションセミナー」が開催された。テーマは「レガシーインターネットの終焉」だ。

 クラウドは色々な業界を揺るがしている。25周年を迎えたインターネット(ワールド・ワイド・ウェブ)ですら、クラウドの影響で徐々にその姿を変えている。

 例えばニールセンの昨年5月の調査では、スマホアプリの利用時間はウェブの約2.4倍。すでにブラウザーではなく、アプリでネットに接続する時代になりつつある。メールはLINEやSNSに代替され、ファイルのやり取りはFTPではなくドロップボックスを使う。気付いてみると、かつてのインターネットとは違う世界が広がっている。

 ニュース閲覧アプリ「スマートニュース」も、良品計画のアプリ「MUJIパスポート」も、アプリの中にURLは見当たらない。ブラウザーを起動し検索で「サーフィン」するパソコン的インターネットから、アプリ間を飛び石のように移動して必要な情報だけを閲覧するスマホ的インターネットへ。レガシーインターネットの終焉にどう対応していくべきか、スマートニュースと良品計画の戦略にそのヒントを探る。

 スマートニュースは、300万ダウンロードを突破したスマホ用ニュースアプリ。「エンタメ」「スポーツ」「経済」といったジャンルごとに、話題のニュースが自動で分類されて届く。同社の藤村厚夫執行役員は「ツイッターで評価の高い記事をクローリングし、記事を1日1000件程度に絞り込んでいる」と明かす。

CarPlay

スマートニュースの藤村厚夫執行役員

 コンテンツを適切な量に絞り込むことで、ユーザーはウェブ上の莫大な情報を取捨選択できるようになる。ユーザーインターフェースにも一工夫加え、左右非対称のレイアウトを採用してスマホの小さな画面に無理なく情報を詰め込めるようにした。

「いわばスマートデバイス上におけるブラウザーの再発明が、スマートニュースの本質。今後もコモディティーになれるよう、挑戦を続けたい」(藤村執行役員)


 良品計画の「MUJIパスポート」は、無印良品で使えるポイントを貯められるアプリ。買い物だけでなく、チェックインや商品レビューでもポイントが貯まる。同社WEB事業部の奥谷孝司部長は「今は情報過多の時代。アプリで顧客接点を確保すれば、買い物以外の時間でも無印のことを考えてくれるようになる。利用者に近づいていって、背中をポンと押すイメージ」と話す。

CarPlay

良品計画WEB事業部の奥谷孝司部長

 無印良品は、他社とのポイントの相互乗り入れをしない「クローズ戦略」を採る。「(ポイントにしろECにしろ)プラットフォーマーは農場を貸し出すようなもの。日当たりの良い場所と悪い場所があり、自社で貯めたポイントは他社で使われてしまう。相対的価値観に陥らないために、我々は閉じていたい。アマゾンに出さなかったことが、結果的に無印のブランド価値を高めている」(奥谷部長)


 インターネットの姿が変わったからこそ、ビジネスチャンスが巡ってくる。次回の「アスキークラウド・イノベーションセミナー」は、インターネット同様クラウドによって変化を迫られている企業の「情報システム部門」にスポットを当てる予定だ。


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