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CTCとネットワールドとディストリビュータ契約

SDNより先にNFV?ブロケード、Vyattaを国内で本格展開

2014年03月19日 14時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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3月19日、ブロケード コミュニケーションズ システムズはソフトウェアネットワーク事業についての説明会を行なった。NFV(Network Function Virtualization)での需要が高まったことを受け、CTCとネットワールドとディストリビュータ契約を締結し、Vyattaの仮想ルーター事業を国内でも本格化する。

NFVが既存のネットワーク機器をリプレースする

 ブロケードのソフトウェアネットワーク事業は、2011年に同社が買収したVyattaの事業をベースにしている。Vyatta仮想ルーターは、ブロケードから商用製品として提供されているほか、OSSとしても公開されている。ソフトウェアでありながら、高いパフォーマンスを有しており、グローバルのクラウドプロバイダーで多くの実績を誇っている。

 説明会で講演した米ブロケードのケリー・ハレル氏は、ブロケード買収前にCEOとしてVyattaを率いてきた人物。「2013年はクラウドプロバイダーの中で仮想ルーターが本格的に導入されるようになった。スタートアップも次々登場し、調査会社がソフトウェアネットワークをトラックし始めた年でもある」と現状を説明。Vyattaの仮想ルーターも現在140万ダウンロードに至り、市場シェア一位を獲得しているとアピールした。

米ブロケード コミュニケーションズ システムズ ソフトウェア・ネットワーキング・ビジネス担当 バイスプレジデント兼ジェネラル マネージャー ケリー・ハレル氏

 ハレル氏は、仮想化やクラウドの普及を経て、ネットワークの分野でも“操作する側”の「SDN」と“操作される側”の「NFV」という2つのアプローチが進んでいると説明。NFV製品として分類される仮想ルーターは、サーバー性能の向上と共に収容効率がますます増しており、ハードウェアコストを大幅に削減。自動化や効率性、迅速性などのメリットをもって、カスタムハードウェアと組み込みOSをベースとする既存のネットワーク機器をリプレースしていくという。「SDNは成熟するまで時間がかかる。既存の技術をベースにしているNFVへの関心の方が高くなっている」(ハレル氏)と述べ、NFV市場の早期の立ち上がりについて言及した。

 また、ハレル氏は、顧客の要望に応じてネットワークをオンデマンドで提供している、米ラックスペースでのNetwork as a Serviceの例を披露。「お客様がポータルでネットワークサービスを購入すると、自動的に仮想ルーターがデプロイされる。複数のデータセンターにシステムが分散されていても、相互にセキュアなネットワークが構築できる」(ハレル氏)。今後はこうしたクラウドプロバイダーのみならず、エンタープライズのハイブリッドクラウドでもこうしたNFVが活用されていくという展望を示した。

ラックスペースでのネットワークサービス

CTCとネットワールドとともに国内本格展開

 続いて登壇した日本法人 代表取締役社長の青葉雅和氏は、ネットワーク仮想化のフェーズが過渡期に差し掛かっていると指摘。「今まではNFVでハードウェアのコストをいかに下げるかをメインにしていたが、これだけ速いなら、さまざまなハードウェアと連携し、新しいサービスを立ち上げようという流れになっている」と語る。

 こうした中、ブロケードはパートナー契約として「Software Networkingカテゴリ」を追加。今回、新たに伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)およびネットワールドとディストリビューター契約を締結したことを発表し、国内でのVyatta vRouterの事業を本格的に開始する。

ハレル氏、ネットワールド SI技術本部長 野村栄司氏、CTC エンタープライズ技術推進部 部長 河原塚勉氏、ブロケード コミュニケーションズ システムズ 代表取締役社長 青葉雅和氏

 両社は「今までのSDNの発展途上の3年間だったが、今後はサービスプロバイダーでのインフラ展開が本格化していく」(CTC エンタープライズ技術推進部 部長 河原塚勉氏)、「vRouterは既存のルーティングプロトコルを安定して使えるのが魅力」(ネットワールド SI技術本部長 野村栄司氏)と、それぞれ期待を語った。また、5400 vRouterの60日間の無償トライアルを開始。検証のために評価ダウンロードが可能になるという。

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