このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

ノーク伊嶋のIT商材品評会第5回

ITワンストップ業の走りは、三河屋のサブちゃんになれたのか?

アナログな中小企業攻略が新鮮なKDDIまとめてオフィス

2014年02月25日 06時00分更新

文● 伊嶋謙二(ノークリサーチ シニアアナリスト)

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷
edge

ここ数回は通信キャリアの中小企業向けのITサービス(クラウドサービスも含む)を紹介しているが、今回はKDDIのKDDIまとめてオフィスだ。前回のNTTコミュニケーションズよりも対応する商材やサービスは多岐に渡っている。通信キャリアなので回線や端末中心かと思われるが、実際はむしろハードやサプライなどのモノが中心というのが特徴だ。なぜKDDIがあえてモノ中心の訪問販売を始めたのか、そのあたりをじっくり取材した。

KDDIまとめてオフィスは中小企業への究極の御用聞きサービス

 KDDIまとめてオフィスはどんなサービスなのか? 以前取り上げた大塚商会が「街の電気屋さん」なら、さしずめこちらは「三河屋のサブちゃん」(例のサザエさんに登場する酒屋さん、どんぴしゃのタイミングで登場する)か。過去に取材したことのある編集担当者の言だが、いい得て妙だ。つまり中小企業の備品やサプライなどの不足感などをつかんでおいて、そろそろこれが切れる頃なので前もって用意しておいて届けるという展開を狙っている。何か入り用なものはありませんかというより、具体的に補充したほうが良いものを細かく用意しておいて個別に営業マンが出向いて届けがてら御用聞きをする。いわゆるマンツーマンマーケティングの原型ともいえるサービスを想定している。

 とはいえ、筆者にはにわかにはピンとこないビジネスモデルのように思われた。なぜかと言えば採算を考えれば「リアルに訪問してビジネスを行なう」ためにはクロスセル、深堀の2つの要素が必要になる。この場合、KDDIまとめてオフィスが狙う層が100名以下の企業なので、案件個別としては大きな規模にはなりにくい。そのためには効率よく細かな売上を積み上げる必要がある。いわゆるストック的で安定的な積み上げが前提になければならない。

 同社がこの要件に当てはまるかどうかは扱う商材にポイントがあるだろう。KDDIまとめてオフィスはITサービスだけでなく、事務機器から事務用品、オフィス日常品まで範囲を広げ文字通りオフィスの必需品をまとめている。このITから少し離れたビジネスは、同社の苦労した経験から生まれている。果たしてこれが狙う深謀遠慮は何かだ。

 

「KDDIまとめてオフィス」スタートの背景

 KDDIではauやWeb回線などですでに相当数の中堅・中小企業のユーザーが存在するが、逆にあまりに数が多過ぎて、そしてすそ野が広すぎて個別にサポートする営業提案が難しかったという。つまりはKDDIのユーザー企業でありながら、販売店任せで、KDDIが直接接点を持つことができていなかった。その問題をクリアするために自身で営業部隊を有してエンドユーザーに接したい。これがKDDIまとめてオフィス株式会社を設立した背景だ。

 しかし販売店にとっても100名以下の企業はなかなかカバーできないのが現状であるが、全国に170万社あるともいわれる中堅・中小企業をターゲットとしないのはもったいないと考えるのは至極当然の流れだ。100名と言わなくとも30名以下の企業でも十分に販売の可能性はあると見たてたのが今回のサービスだ。

 一般的に中堅・中小企業は、販売店の営業マンが直に接することで囲い込みができることは良く知られている事実である。その理由は販売店と中堅・中小企業との関係は思いのほか密接だからだ。ユーザー企業側にとって限られたリソースと時間でIT周りを完結するには、ユーザー企業だけでは負担が大きいし、実質的には決めかねる部分が多い。そのためユーザー企業にとって販売店は頼りになる存在だ。支出する金額は大きくないが、一度良い関係を作ると長期間にわたって継続したつきあいになることが多い。この特性を理解すれば、このビジネスが意外に堅調なストックビジネスの性格を持っていることに気がつく。

 KDDIまとめてオフィスは2011年2月に立ち上げて、同4月よりサービスを開始している。立ち上げのスローガンは、「あなたの会社のIT担当になります」でスタートをしたが、設立後すぐに東日本大震災に見舞われた。そこで新たに気がついたことはITや事務用品等に加えて、オフィス日常品としての要求、「水を売ってほしい、防災用品を準備してほしい」などの要求が多くなったことだ。つまりIT以外の製品を調達して販売することが多くなったことが、現在の幅広い提供サービスの骨子を固めることになった。

 その後、スマートフォン市場の広がりがあり、スマートフォンやグループウェアなどの販売をするようになり、徐々にITや事務機での実績が出てきているという日常品からITへの逆コース的な動きが出ているのが特徴だ。

100人以下の企業にターゲットしたのかはなぜか?

 KDDIまとめてオフィスのターゲットは100人以下の企業である。100人を超える会社であると、専任のIT担当者がいるケースが多い。100人以下の企業だと専任担当者がいないことが多いために、その会社の困ったことを助けることをアピールした。そしてITに加えてまさに事務所で必要となる幅広い商材を扱うことになった。回線や携帯電話、スマートフォンから事務機、文具などのオフィス商材、そしてPCなどのIT商材などすべてKDDIで窓口を一本化させる提案である。

 最終的にはユーザー企業の本業を伸ばせるような提案を目指している。中堅中小企業は人員が少なく、テレコムはここ、OAはここ、事務用品はここと、担当者が分かれているという手間を嫌がる。そこで、KDDIまとめてオフィスによるワンストップで対応できることをアピールする。そうしたニーズの企業をターゲットとしている。

「KDDIまとめてオフィス」の商材一覧(http://kddimatomete.com/product/index.html)

(次ページ、直販営業にこだわり専門の子会社設立)


 

前へ 1 2 次へ

この連載の記事

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

アスキー・ビジネスセレクション

ピックアップ