音質は折り紙付きのMDR-10RBT
MDR-10RBTはBluetooth 3.0対応ヘッドセットで、スマートフォンとのペアリングはNFCを用いることで容易になっている。コーデックはAACとapt-Xに対応。連続再生時の内蔵バッテリーの持続時間は約17時間。重さは約210gで、これもワイヤレス機構を載せながら、ベースモデルのMDR-10Rに対して30gの増加でおさまっている。
ワイヤレス接続時の音質はBluetoothヘッドホンの中でもかなり高い方で、ノイズや歪みといった音質を阻害する要素は非常に少ない。動画再生時の遅延は、120bpm程度のテンポで叩いているドラマーの手の動きが半拍ほどずれる程度。スマートフォンの小さな画面でYouTubeを見る程度の使い方なら、あまり気にはならない。
有線接続時にはパッシブ接続になり、ノイズキャンセルモデルのMDR-10RNCのようにハイ落ちはしないものの、MDR-10Rとは若干ながら音質が異なる。ボーカルの帯域はやや落ち込み気味ながら、低域のダンピングはこちらの方が上のように感じられた。実売価格はMDR-10RNCより安い2万6800円前後だ。
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ライバルはMDR-1シリーズ
MDR-10シリーズは、MDR-1の下位シリーズという位置づけ。気になるのは、やはりその差だ。外装パーツの質感は、コストと軽量を優先したためか少々安っぽい。その割に上位シリーズとの価格差に開きがないというのが、このシリーズの難しいところだった。見方を変えればMDR-1シリーズがよくできすぎているのだ。
発売から1ヵ月半を経過した現在は価格も調整されているが、発売当初はMDR-10Rの価格と、MDR-1RMK2の発売で旧型となったMDR-1Rの価格差がほとんどなく、積極的には選びにくかった。実際、それで敬遠した人も多かったのではないか。
ちなみに現在のMDR-1RMK2は、実勢価格2万4800円。MDR-10Rはそれに対して十分にリーズナブルな価格になったとは思うが、もしMDR-10シリーズをターゲットに入れているなら、店頭でMDR-1シリーズとの質感や重さの違いに納得した上で、予算に合わせて選ぶことをお勧めしたい。
著者紹介――四本 淑三(よつもと としみ)
1963年生れ。フリーライター、武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師。インターネットやデジタル・テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレ。