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バブルに乗りたい4K業界

2013年11月21日 16時00分更新

文● 伊藤達哉(Tatsuya Ito)/アスキークラウド編集部

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 経団連が11月13日に発表した、経団連加盟企業の冬のボーナスの平均額は、82万2121円だという。前年に比べると5.79%増で伸び率はバブル期の1990年に次ぐ水準だ。

「DP-V3010」は独自開発したRGB LEDバックライトシステムやIPS液晶パネルにより、映像制作現場に広域色、高コントラストの映像を再現する

 ボーナス商戦を控え、「4Kテレビ」に注目が集まっている。調査会社BCNの調査によると、4Kテレビを所有しているのは全体の1%にとどまったが、「興味がある」と答えたのは4分の1に上った。4Kは、解像度4096ドット×2160ドットの表示領域で、フルHDの4.5倍以上の高画質を表現する。
 新規参入を発表したキヤノンが販売する映像業界向けのディスプレー「DP-V3010」は、30型で300万円前後とかなり高額だ。しかし、家庭用の4Kテレビは画面1インチ当たり1万円前後に下落しており、以前に比べて買いやすくなっている。

 4Kはテレビだけで楽しめる規格ではない。すでに YouTubeは2010年から4K動画に対応している。ただ、データ量が大きいため、一般的なパソコンでは映像データの展開処理に時間がかかり、快適に見るには高めのスペックが必要になる。
 NTTアドバンステクノロジーは、4Kの映像データをクラウド上のサーバーを使って圧縮するシステムを開発した。
 4K映像の圧縮処理には次世代動画圧縮規格「H.265/HEVC」を用いる。10台以上のサーバーで並列分散処理することで、従来1時間の映像に60時間ほどかかっていた圧縮処理の時間が、5~6時間ほどで済むという。圧縮処理の時間が短縮されれば、作業効率の向上が見込めるだけでなくコスト低減につながる。
 現状、4Kコンテンツが充実していないだけに、システムや規格の普及は4Kのシェア拡大にもつながる。

 すでに次世代規格「8K」の準備も進んでいる。装置メーカーの営電は、電波産業界が規定した8Kのフォーマットに準拠した信号を生成できる機器を開発。
 8Kは 2016年にテレビの試験放送が始まる予定で、営電はいち早くテレビメーカー向けの需要を取り込む狙いだ。
 総務省は、2020年の東京五輪までに8Kの普及を目指している。ボーナスが増えたこの冬に4Kに買い替えるか、それとも2016年に実用化されるという8Kまで待つか、さらにインターネットでの映像データの処理が高速化することでタブレットやスマートホンで4K/8K映像を楽しむか。
 クラウド時代の到来により、利用者の選択肢は増えている。


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