佐武宇綺が聞いちゃいます オーディオのココが知りたいです! 第3回
真空管&デジタルのハイブリッドアンプはこだわりの逸品!
イタリア製アンプ「Carot One」はマニアな音を楽しむ第一歩 (6/7)
2013年07月24日 13時00分更新
マニアな「音」へのこだわり
佐武 Carot Oneは、電源が入っているときのブルーの光がかわいいですよね。暗くしてもいいし。(真空管を指して)これ、ひっくり返しても落っこちないんですか?
庵 (笑)。大丈夫ですよ。
佐武 なんだ! 私、怖くて触れなかったんですよ(笑)。
庵 ただ、グッと引っ張れば抜けるので、交換することはできます。
佐武 変えたら、音も変わるんですか?
庵 はい。真空管はいろんなメーカーから出ていて、これはロシアのエレクトロ・ハーモニックス社のものなんですけど、規格が合えば、ほかの会社のものに差し替えて楽しめます。少し専門的な知識は必要ですけどね。
佐武 すごい。超楽しい!
庵 ちょっとマニアックな話になりますけど、真空管には古い真空管、つまりビンテージ管と言われているモノがあり、素晴らしく味わい深い音を出してくれます。昨年ERNESTOLOにビンテージ管を搭載した200台限定モデルを発売したのですが、音の良さが評判となり、価格はかなり高くなっていたのですが、一瞬で売り切れました。
佐武 そういう楽しみもあるんですね。
庵 マニアックですけど、好きになったらそこまでこだわれるっていうのはありますね。
佐武 オーディオはマニアになっても楽しめそうですよね。
庵 そうですね。例えば、スピーカーで音楽を聴くと、左右のスピーカーの間に歌手が歌ってる姿が現れてきます。家で聴きながら、「ちょっと口でかいなあ」って思うと、夜な夜なスピーカーの角度の調整がはじまるわけですよ。片方がずれると、ちょっと左寄ったなってなるのでまた調整して……。で、ちょうど真ん中にきたら、「おー、きたきたきた! 俺のために歌ってくれてる」って(笑)。
佐武 すごい、その話! スピーカーの向きを変えて、歌っている人の口の大きさが変わるんですか?
庵 左右のスピーカーを内側に向けると、音が放射してぶつかるじゃないですか? スピーカーの角度を変えてやると、ぶつかる位置が変わります。ぶつけている部分を正面から聴くのと、角度が広がってぶつかる手前で聴くのとでは、全然聞こえ方が違うんですよ。そして、それをどこで聴くかで、歌っている人の口の大きさなども変わって聞こえるんです。
佐武 やばい、やばいよ!
庵 オーケストラを聴くときには、このオケはひな壇の上にホルンがいるはずなのに、ホルンが少し下から聞こえる。「これじゃだめだな!」と、スピーカーを動かしたり、さまざまなセッティングを始めるんです。
佐武 庵さん、マニアですね(笑)。すごいです。
庵 マニアです(笑)。でも、本当に録音が優れたCDを聴くと、バイオリニストの身長もわかりますよ。座って弾いてるな、とか……。
佐武 うわー、すごい! ありえない、ありえない。そこまで達するんですね。それってすっごい楽しみですよね。
庵 まぁ、そこまでやると完璧なオーディオマニアなんですけど、そこまでいかなくても、スピーカーで楽しんでほしいですね。ヘッドホンだとそこまでこだわれないじゃないですか。もちろんヘッドホンならではの素晴らしさもあるんですけど、脳内での音になってしまうんです。しゃべっているときって、人の声は正面から聞こえるわけで、耳から直接聞こえるわけではないので……。
佐武 体でも感じますからね。
庵 そうなんです。ヘッドホンは脳で感じてますから、違う感覚なんです。
佐武 確かに。スピーカーだと、振動を体で感じるからライブ会場のようなリアリティーがあるけど、ヘッドホンだとそれが伝わりにくいってのはありますね。
庵 例えば、いまかかっているのは深町 純さんというピアニストのKyrie(祈祷の詩)という曲なんですけど、このアルバムを作ったあとに亡くなってしまうんです。それを知って夜に部屋を暗くして、この曲を小さな音で聴くと、目の前で弾いてくれているようで号泣ですよ。
佐武 (拍手しながら)うわー。庵さんすごいわ。いままで会った中でもすごい人です(笑)。
庵 音楽って、こういう歌詞がないものでも伝わりますよね。外国人でも、この感情はわかると思うし……。そういうものを家でいい音で聴くって、すごくいい趣味だと思うんです。それに、スピーカーだと、こうやって話しながらでも楽しめますし、真剣に聴いてもいいですし、いろんな活躍の場があるので素敵だなと思います。
佐武 やっぱり、周りにオーディオ好きな人がいないと気付かないことだし、私はこの仕事をすることで気付けたから、まずはメンバーに広めたいなと頑張っています。
庵 ぜひぜひ。スピーカーの話をすると、みな「そんな大きな部屋に住んでないし、大きな音を出せない」って言うんですよ。でも、いいオーディオは小さな音量でいい音が楽しめるんです。そこが伝わってないんですよね。
佐武 別に大きな音を出すためのものじゃないんですよね。そこは勘違いしやすいところかも。
庵 そうですね。例えば、いま、こうして話をしている間に流れているこの音は、近所迷惑になるような音量じゃないと思うんです。
佐武 そうですね。そして音も素晴らしいですからね!
庵 ありがとうございます! また、佐武さんのファンの方などは、すべてのことを知っておきたいって思うかもしれません。例えばライブ版のCDに佐武さんが躓いた音が入っていたら、いいオーディオでならその音を聞き取ることができるかもしれないんです。
佐武 そっか、そういう音まで聞こえるわけですね。
庵 そんな楽しみのはじめの一歩としてERNESTOLONEをよろしくお願いします(笑)。
佐武 PCとすぐにつなげて小さくてデザインも良くて……。しかも、本格的なオーディオだから小さな音でも楽しめる! ERNESTOLONEはかなり欲しいですよ!!
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