スマホでステータスを高められるのはもはやiPhoneのみ!?
PCではないが、インテリアショップの「franc franc」が一部店舗を店じまいにした。JETROの前出の資料でも見えてとれるが、中国人は携えるモノにはメンツのために見栄えのいいものや、評判のいいブランドの製品を選ぶが、部屋のインテリア小物にはあまりお金をかけない。
ソニーや東芝は現地ニーズにあわせピンク色などポップなカラーのPCをリリースしているが、これが売れるかといえば、もはやノートPCには持ち運びで魅せるニーズはない。ピンクにこだわる女性は一部にいるので、そうした層に少しずつではあるが売れるのではないか。
ノートPCに代わりスマートフォンがメンツグッズとなった現在、特に上海の中心部ではスマホでは最上のステータスを表現できるiPhoneのユーザーが多く目立つ。
所得があると、スマートフォンに詳しくなく、メンツを第一に考える人はとりあえずiPhoneやiPadを買うが(メンツよりも実用重視でGALAXYを選ぶ人もいる)、大衆車から高級車に移るような、デスクトップPCからノートPCに移るような、ないしはコンデジからデジイチに移るような、そのようなさらなる高みがないわけだ。
Vertuのような貴金属系スマートフォンの路線には進まず、スマートフォンへの欲求はiPhoneでストップしてしまう。結果、上海の携帯電話市場ではApple Storeだけに人が集まるという結果となっている。
上海などではiPhoneの次がないと消費が進まないが、地方都市では冒頭で紹介した深センの市場の写真のようにデジタル消費は進む。
所得が進めば最終的にはiPhoneなどにたどりつくが、たとえば上海のちょっと郊外に行くだけでもiPhone率はぐっと低くなる。CNNIC(China Internet Network Information Center)によれば、上海のインターネット普及率は68.4%だが中国全体では42.1%と大きな差がある。
地方都市において人々は“iPhone入手”という目標を前に、PCやレノボ・ファーウェイ、ZTE、CoolPadなどのスマートフォン、ないしはニセモノスマホが1ステップ入る。
中国産スマホが他国のデジタル製品普及を促進
中国向けの量産は東南アジアや南アジアなどさまざまな国にも影響する。中国のOEM元が作った現地企業のスマートフォンやタブレットやPCとは別に、中国のデジタル製品が個人輸出され、販売されている。
中国でのデジタルニーズは、上述のように上海などの都市以外ではまだ強い。そして、中国向けに量産された製品が安価で他国に持ち込まれることもあり、他国のデジタル普及を促進していことにもつながっている。
山谷剛史(やまやたけし)
フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。当サイト内で、ブログ「中国リアルIT事情」も絶賛更新中。書籍では「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)を執筆。最新著作は「日本人が知らない中国インターネット市場[2011.11-2012.10] 現地発ITジャーナリストが報告する5億人市場の真実」(インプレスR&D)。
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