このページの本文へ

前へ 1 2 3 4 次へ

3年ぶりのハイエンド機「SHURE SE846」

SHURE開発者に聞く、究極イヤフォンはこうして生まれた

2013年05月13日 11時00分更新

文● 小林 久

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

SE846の開発に携わった、イヤホン・プロダクト・マネージャーのショーン・サリバン氏(左)とモニタリング・カテゴリー・ディレクターのマット・エングストローム氏(右)

 シュアが先日発表したハイエンドイヤフォン「SE846」(関連記事)。従来機のSE535に低域用のユニットをひとつ追加して、明瞭で伸びのある低域を追求した点が特徴だ。同時に中高域の音質調整など、マニアが喜びそうなカスタマイズ性も持つ。ユニバーサルといわれる汎用型カナルヘッドフォンとしては、超高級機という位置づけだが、その中にはシュアの技術の粋が詰まっている。

 来日した開発者に聞いた。

足かけ4年をかけて開発された意欲作

── SE846を開発したきっかけと経緯は?

SE846

ショーン・サリバン 「SE535を発表して以降、ユニットを4つに増やしたイヤフォンの発売はいつになるのかという要望がずっとあった。しかしただ単にユニットを4つに増やすだけでは意味が薄いというのが我々の思想だ。ユニットを増やすメリットは何か、どうすればそれを最大限に生かせるかを時間をかけて詰めたのがSE846だ」

マット・エングストローム 「マルチユニットのイヤフォンは、(2010年のSE535が出る以前の)2009年ごろから実験的に開発し始め、2010年に正式な製品開発チームが発足した。ここから本格的な検証が始まっている」

── ユニットは当初から低域用をひとつ増やし、4基にするつもりだったのか。

サリバン 「最初からではない。どうすれば性能を出せるかと検討し、アコースティック面でのイノベーションを追究していったのがスタートだ。その過程で革新的なローパスフィルターの開発に成功した。これを活用してドライバーを4基にすれば、求める音に近づけると考えたのがSE846だ」

試聴を繰り返し、試行錯誤の上で実現したSHUREらしいサウンド

── 音作りでは何を最も重視したのか? 定位かワイドレンジ再生か。

エングストローム 「両方だ(笑)。ある要素だけが特別ということはない。あらゆる面でSE535を上回りたかった」

── 色々なアイデアを検討したと聞いているが。

サリバン 「開発は小さな変更を少しずつ重ね段階を追って試していった。試作段階ではイヤフォンではあり得ないぐらいの大きさになったり、チューブがビヨンと飛び出したものもあった」

エングストローム 「2010~2011年ごろの話だ。チューブやケーブルはローパスフィルターの実験のために試作したもの。カバーもなく、イヤフォンとしては一人でつけるには難しいものもあった」

サリバン 「ネットワークのテストをするために必要だった。しかし使用したケーブルが非常に細かったため、使用し始めて2分で断線してこわれてしまったりと、試行錯誤があった」

前へ 1 2 3 4 次へ

カテゴリートップへ

週刊アスキー最新号

編集部のお勧め

ASCII倶楽部

ASCII.jp Focus

MITテクノロジーレビュー

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード
ピックアップ

デジタル用語辞典

ASCII.jp RSS2.0 配信中