タブレットを普及させるためにはメッセージの修正が必要
── Windows 8のリリース後、半年が経過した。しかし導入状況を含めて、雰囲気はあまりよくないのではないか。
村上 「確かにPC業界、特に法人向けでは、Windows 8以前にWindows XPをどうするかというのが一番のトピックスになっています。法人ではXPから7へというのが一般的な流れで、Windows 8への移行を考える形にはなっていません。
とはいえタブレットのビジネスに関しては、法人からの引き合いもだいぶ出てきました。ただし現段階では実ビジネスにつながるような事例ではなく、検証段階として少数を導入するというのが実際のところです。
もうひとつ重要なポイントは、キャリアとの連携です。つまり通信対応をどうするかということ。プランとしてはあり、実際にそれを進めようとしている段階です」
── 少し前の状況にさかのぼると、各ベンダーは各企業が持つ「既存のセキュリティーポリシー」に合致させやすいのがスレートPCだとアピールしていた。iPadやAndroidタブレットではそれを満たせないという主張だったが。
村上 「確かに、(HPとしても)過去の資産を活用できる点や、セキュリティーポリシーをそのまま適用できる点、セキュリティー面でも心配ないといった面をメッセージとして伝えてきました。ただし顧客の声に耳を傾けると、実際に使うユーザーの関心はそこにはないという点も実感しています。使い勝手やタブレットを入れることでどれだけ生産性が上がり、仕事がしやすくなるのかという視点での要望が多いのです。
管理部門に対してはセキュリティー面や管理コストで考えると、Windowsしかない。これはほとんどのIT管理者が納得してくれます。一方ユーザー部門で実際に使いたいと思う人には、Windowsタブレットを導入することによって、効果的なプレゼンテーションができるなど別のメッセージが必要だと考えています」
── ビューイングだけではなく、生産的な作業を考えるとWindowsタブレットが優位であるという点は改めてアピールするのか?
村上 「そうです。実際のケースを見ると、(タブレットを導入しても)2台の機器を持ち歩いていることが多いように感じます。編集作業や日報を書くといった作業にはどうしてもノートパソコンが必要です。これとは別に顧客へのプレゼンなど見せるという用途でタブレットを別途持ち出す形となっている。Windowsタブレットであればこれを1台で済ませられます。
iPadの活用事例では資料を配信してみせるといったカタログ的な用途が中心です。プレゼンテーションの内容を変えることまでは難しい。自分で資料を作成し、直前まで修正するといった用途を考えるとExcelやPowerPointを使えるという点が重要になります。
(ノートパソコンに比べれば限定的といっても)Windowsタブレットであれば、それができる。そこを訴えていきたいと思っています」