シンプルな機能は自信の表われ!?
DIGITAL ACT「FANTABIT」
次に紹介するのはDIGITAL ACTの「FANTABIT」(800円)。こうしたアプリは海外製のものが多いので勘違いしていたが、DIGITAL ACTは通信機器やネットワーク機器関連のソフトウェア/ハードウェアを開発している日本のメーカー。
FANTABITは、元々MP3などの圧縮音源で失われた情報を復元する技術のことで、これを組み込んだ音楽プレーヤー名にもなっている。
ウェブサイトをいろいろと見ていくと、この技術を携帯電話や携帯ゲーム機、音楽プレーヤーやカーステレオなどへの応用も考えているようで、組み込み用LSIの開発をしていたり、FANTABIT技術を備えたオーディオコンポの開発も進めているようだ。
プレーヤー画面は白を基調としたシンプルな画面で、プレイリストのほか、アーティスト/曲/アルバムでのリスト表示が可能。プレイリストの表示がユニークで、あるプレイリストを選択すると、なかにある曲リストが展開される。画面の切り換えがスムーズなので、使いやすい印象だ。
シンプルで使いやすく、なかなかに好印象だが、音質調整的な機能はない。リピートやランダム再生などは一通りできるが、必要最低限の機能しか備えていない。無理に機能を増やしても仕方がないのだが、800円の有料ソフトでもあるので、イコライザー機能などがあってもよいとは思うのだが……。
きめ細やかで自然なトーンのサウンドが魅力!
FANTABIT技術の仕組みは、多くの圧縮音源の高音質化と同様に、失われた高域成分に加えて、中低音域の復元も行なっているようだ。しかも、周波数的な情報の復元だけでなく、時間軸方向での情報の復元も行なっているようで、単純に高い音/低い音が蘇るだけでなく、ぐっと音が盛り上がっていくときの音量の変化や静かに消えていく響きの余韻なども鮮やかに再現する。
実際に音を聴くと、音の響きがより鮮明になり、弦の音色が艶やかになっていると感じる。音の輪郭もなめらかで自然な感触で、なかなか気持ちのいい再現となる。
ちょっと驚くのはコントラバスの低音。決してブリっと鳴るような低音強調ではないのだが、フワっと広がるような豊かな低音感がある。どちらかというと、穏やかでソフトな音調なのだが、なかなかに力強さやぐっと盛り上がるときのパワー感も出てくる。
ボーカルは、息を吸ったときのかすかな音や、ブレスの様子が明瞭で、実にリアルな表現となる。これはなかなかに優れた音で、満足度は高い。アコースティック楽器による演奏をよく聴く人には最適だ。
ただし、音の硬さの原因でもあるキリっとした輪郭感はソフトになるので、ビートの効いた曲や元気のいい曲をガンガン聴きたい人にはちょっと物足りないこともあるかもしれない。どちらかと言えば、HiFi志向の強い人におすすめだ。
FANTABIT
- 入手先:https://itunes.apple.com/jp/app/fantabit/id506232017?mt=8
- 価格:800円
- 音質評価:★★★★★
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