I3(アイキューブド)研究所は、映像空間クリエーション技術「ISVC」(Intelligent Spectacle Vision Creation=脳内感動創造)を開発したと発表した。
同社は、ソニーOBの近藤哲二郎社長が、新映像産業創出のためのオープンプラットフォーム型研究開発企業として、2009年8月に事業を開始。先頃、シャープが製品化した60型の4K2K液晶テレビ「ICC PURIOS(ピュリオス) LC-60HQ10」に採用しているICC(Integrated Cognitive Creation)技術を2011年5月に発表(関連記事1、関連記事2)。ICCは映像の立体感や臨場感を向上させる画像処理技術の一種で、今回のISVCはそれに続く同社独自の第2弾技術と位置づけている。
ISVCは、ICCで実現した光クリエーションのコンセプトを進化させながらも、新たな技術や概念による信号処理を開発。大画面利用に適したプロジェクター向けに新たな価値を創り出すものと位置づけている。
代表取締役の近藤哲二郎氏は、「映像を見た際にも、現実の風景を直接見たときと同じ体験を得られることを目的に開発した技術。富士山の雄大な風景を、スマートフォンの画面で見ても感動は得られない。大画面での視聴によって感動を得られる」と前置きしながら、「単に大きな画面で再現するだけでなく、自然界が持つ物理量を感じられるのがISVC技術の特性。人間の脳の中の処理は、視覚が大部分を占めており、その視覚から考え、判断し、行動している。
光クリエーション技術は、実際にその場にいるのと同様の光刺激を提示することで、映像の透明感を作りだし、視覚に関する脳への負荷を低減できる。同時に、山や河、海といった自然界の様子を実際に見る時に感じる、距離感や大きさといったサイドインフォメーションを、画面全体から感じ取れるようになる。これによって、自然界が持つ圧倒的な存在感、壮大な広がり感を感じ、その場にいるのと同じような感動を大画面から得られる」と、ISVC技術の特徴を語る。
ISVC技術を採用した製品の市場投入については、「当社は研究所であり、実際の事業化については、パートナー企業が行なう。現時点では、まだ具体的な事業化の話はない。この技術を活用するパートナー企業が出てくることを期待したい」などとし、主に、大画面ホームシアターやパブリックビューイングなどでの用途を想定しているという。