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映り込まない液晶テレビが、大画面の映像体験を変える

6畳間+大画面に新条件、モスアイパネル搭載AQUOS XL9を狙え

2012年11月30日 11時00分更新

文● 折原一也、編集部、写真●篠原孝志

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シャープがAQUOSで初めて
大型テレビ向けに実用化した「モスアイパネル」

 その両立を可能する技術としてシャープが大画面テレビとしては初めて実用化に成功した技術がモスアイパネルなのだ。

 モスアイとは蛾の目の構造を研究して生まれた。自然から学んだ技術だ。蛾の目の表面にはナノ単位(1/10億メートル)の微細な突起がある。この目の構造から効率的に光を取り込むことによってほとんど光のない夜間でも活動を可能としている。

 この蛾の目の構造をモスアイ構造として模して作られた再現されたAQUOS XL9の表面パネル・モスアイパネルには、従来マイクロメートル単位だった表面処理とは、文字通りケタ違いのナノメートル単位の樹脂の微細突起が無数に存在する構造となっている。

モスアイの原理

モスアイ構造の電子顕微鏡写真

 外部の光は凹凸型となった微細の突起を経由して入射することなりなることで、空気の屈折率であるn=1.0から物体のn=1.5までが連続的に変化するようになる。結果、急激な屈折率の変化によって生まれる反射鏡面がなくなり、外光を反射しない低反射の構造が可能となったのだ。

 モスアイ構造では、従来のクリアパネルの屈折率約4%、グレアパネルの屈折率約0.7~1.2%という波長によりバラ付きのある反射率に対して、光のすべての波長域で0.1%以下というかつてないほどの低反射率も実現できる。

モスアイ構造は特定の波長だけではなく、可視光全域で高い効果を得られる。また映り込みは正面で見た場合に最も効果を期待できるが、斜めから見た場合でも非常に低く抑えられている

 すべての波長域で低反射特性を維持することは、微少に映り込んだ像によって色が付くことを避けられることも意味する。同時に従来技術よりも広い上下左右50度まで低反射を維持できる視野角特性を備えている。

大画面のテレビでは、照明やテレビ台の反射など周囲の光が映り込みやすい。従来の低反射パネルでは、これを拡散させて目立たないようにしてきたが、発色などは若干犠牲になってきた

 また、モスアイ構造は従来のグレアパネルの採用してきた“すりガラス型”のような、液晶パネル側からの光も拡散する構造とは異なる。このため、テレビ側からの映像の表示には支障がなく、よりクリアな映像の表示も可能としているのだ。

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