シャープがAQUOSで初めて
大型テレビ向けに実用化した「モスアイパネル」
その両立を可能する技術としてシャープが大画面テレビとしては初めて実用化に成功した技術がモスアイパネルなのだ。
モスアイとは蛾の目の構造を研究して生まれた。自然から学んだ技術だ。蛾の目の表面にはナノ単位(1/10億メートル)の微細な突起がある。この目の構造から効率的に光を取り込むことによってほとんど光のない夜間でも活動を可能としている。
この蛾の目の構造をモスアイ構造として模して作られた再現されたAQUOS XL9の表面パネル・モスアイパネルには、従来マイクロメートル単位だった表面処理とは、文字通りケタ違いのナノメートル単位の樹脂の微細突起が無数に存在する構造となっている。
外部の光は凹凸型となった微細の突起を経由して入射することなりなることで、空気の屈折率であるn=1.0から物体のn=1.5までが連続的に変化するようになる。結果、急激な屈折率の変化によって生まれる反射鏡面がなくなり、外光を反射しない低反射の構造が可能となったのだ。
モスアイ構造では、従来のクリアパネルの屈折率約4%、グレアパネルの屈折率約0.7~1.2%という波長によりバラ付きのある反射率に対して、光のすべての波長域で0.1%以下というかつてないほどの低反射率も実現できる。
すべての波長域で低反射特性を維持することは、微少に映り込んだ像によって色が付くことを避けられることも意味する。同時に従来技術よりも広い上下左右50度まで低反射を維持できる視野角特性を備えている。
また、モスアイ構造は従来のグレアパネルの採用してきた“すりガラス型”のような、液晶パネル側からの光も拡散する構造とは異なる。このため、テレビ側からの映像の表示には支障がなく、よりクリアな映像の表示も可能としているのだ。