特集2回目終盤でいよいよ試聴開始!
ここまでの作業を完了したらいよいよ試聴。ちなみに今回は、筆者所有のPCとクリプトンが発売している高音質USBケーブル(UC-HR 4万4100円/1m)でKS-1 HQMと接続して試聴を行なった。
PCの電源から回り込むノイズを遮断するため、電源線と信号線を分離した高性能USBケーブルだ。KS-1 HQMと組み合わせるにはちょっと高価なことが難点だが、音質や信頼性の点では申し分ない。
KS-1 HQMの音は何度か聴いており、小さいながらもしっかりとした低音再生ができ、なによりも解像感の高いハイファイ調のストレートなサウンドには好感を持っていた。
だが、今までは筆者がPCオーディオに手を付けていなかったこともあり、PCのオーディオ再生はFoobar2000もWASAPI排他モードもなにもせず、Windows Media PlayerでCDからリッピングした16bit/44.1kHzの音を聴いていた。
そういう意味では初体験の音なのだが、ちょっと今までのものとは別格の音が出てびっくりした。試聴したのは、CDでも何種類も購入した「Yes/Fragile」(24bit/96kHz、e-onkyo musicで販売中。9曲セットで2500円)。これと、手持ちのCDからリッピングした16bit/44.1kHzの音源とも比較した。
ハイサンプリング音源と言っても、別に聞こえない超高音域がどうのこうのという違いがあるわけではない。超高域成分が含まれた音楽を聴くと脳からアルファ波が出るとか、集中力が高まるといった研究成果も出ているが、これもまた別の話。
昔の筆者は「人間の可聴帯域である20kHzを超える音が入っているとか言っても、それ聞こえないし。喜ぶのは犬だけか?」とか暴言を吐いていたわけだが……。
これがPCの音か!? 本格的なオーディオの音に驚愕する
ずばり言って、その音質に脱帽した。普通に聴こえる可聴帯域内の音がまるで違う。これは、波形を記録する密度が倍以上になっているのだから、当然と言えば当然の話。
Yesの「ラウンドアバウト」を聴くと、ギターのイントロの音色のきめ細やかさに驚く。弦をつま弾いたときの響きの余韻がいっそう明瞭になり、スピーカーの間に立ったギターの音像のまわりに空間が感じられる。
なめらかなだけでなく、ボーカルの声の張り、コーラスとのハーモニーの美しさ、なにもかもがワンランク上のクオリティ。生き生きとした音は躍動感たっぷりだ。KS-1 HQMの厚みのある中低音の魅力もあり、正確でありながらも音に芯のある聴き応え満点の音が楽しめた。
16bit44.1kHz音源の方を聴くと、これも再生ソフトやWASAPI設定のおかげでなかなかあなどれない音質になっているのだが、それでも空間はしぼんでしまう。ノートPCの両脇にKS-1 HQMを配置したニアフィールドセッティングのせいもあり、よく言えば箱庭を覗いているような、こぢんまりとした音像になる。
また、ぐっと盛り上がる部分の音圧的なダイナミックさにも差が出ているようで、なんとなく元気のない、メンバーの調子が悪いような面白みにかける印象になってしまう。
ハイサンプリング音源の凄さそのものは、ネットワークオーディオプレーヤーで体験してはいたが、内心「たかがPC」と馬鹿にしていたものから、これだけの音が出てくると改めて驚いてしまった。
次回はUSB DACで少しグレードアップ!?
これはじっくりと聴かないともったいないレベルの音だ。そして、単体のUSB DACを使うなど、より本格的なオーディオシステムに接続して、よりその魅力を引き出してやるべきだと実感した。
というわけで、次回は単体USB DACとの組み合わせや、ハイサンプリング音源に対応したAVアンプなどを使って、より本格的なオーディオシステムでの再生に挑戦してみたい。こちらもまたまたびっくりするような音が出るはずだ。
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