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iPhone/iPadが圧倒的に便利になる新Mac用OS

「OS X Mountain Lion」—iOSの勢いをMacに取り込み攻勢かけるアップル

2012年07月25日 21時31分更新

文● 林信行

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使い勝手のよさを徹底的に追求

 使い勝手を向上させるため、細部にわたるまでとにかく徹底的に直している、というのがMountain Lionの特徴だ。

 Finderで大容量ファイルやフォルダーなどをコピーをしている時、これまではコピー中の進行状況が分かるプログレスバーが別ウィンドウに表示されていた。このプログレスバーの問題は、コピー中に何か他の作業を始めると、ウィンドウの背後に隠れてしまい、あとどれくらいコピーに時間がかかるのか分からなくなってしまうことだった。

 そこでOS X Mountain Lionでは、ファイルやフォルダーのコピー中には、その度合いが分かるプログレスバーを別ウィンドウだけでなく、コピー中のファイル/フォルダーのアイコン上にも表示するようになった。コピー操作のほとんどはドラッグ&ドロップ操作で行なわれており、コピー先のファイル/フォルダーは画面上の右端など、比較的、ほかのウィンドウが被らない場所に一時的に置かれることが多いからだ。デジタルカメラからFinderで写真を取り込んでいる人などに、便利な機能だろう。

コピーの進捗状況を示すプログレスバーが、アイコン上にも表示されるようになった

進化し続ける「OS X Mountain Lion」

 OS X Mountain Lionには、200以上の新機能があり、これらひとつひとつを挙げ始めると切りがないが、実はユーザーはすぐにすべての機能の恩恵を受けられるわけではない。

 Power Napの利用にはファームウェアのアップデートが必要だし、iCloudドキュメント・ライブラリーの利用には、アプリケーション側の対応を待たなければならない。

 そして、もうひとつ、ここまでいくつか挙げてきたFacebook連携機能に関しては、なぜか秋頃まで待たなければならない。

 このFacebook連携機能は、同サービスを使っている人には、ことのほか便利だ。ただ、Facebookで受け取ったメッセージの通知を受けたり、通知センターおよび共有メニューからFacebookに投稿できるというだけではない。Facebookでつながっている友達の情報を、「連絡先」に登録している情報と自動的につなぎあわせて、プロフィールアイコンや、ほかの電話番号、住所、メールアドレスなどの情報をひとつのカードに統合表示する機能もある。相手が同姓同名の場合でも、電話番号やメールアドレスで照合するため、ほぼ間違うことはないようだ。  また、表示を統合しているだけで元のデータそのものには変更を加えていないため、万が一間違って統合された場合でも「リンク済み」というところでいずれかの情報のリンクを解除すれば、別々の連絡先情報になる。

Facebookでつながっている友達の情報を、「連絡先」に登録している情報と自動的につなぎあわせて、プロフィールアイコンや、ほかの電話番号、住所、メールアドレスなどの情報をひとつのカードに統合表示する機能も用意される

 Facebook連携でもうひとつ面白いのが、誕生日情報の取り込みで、友達の誕生日情報を自動的に取り込んでカレンダーに登録してくれる。そして1日のはじめに、その日が誕生日の友達を通知で教えてくれるのだ。

 Facebook上の友達が数千人単位でいる人は、カレンダーが誕生日だらけになってしまってうっとうしいが、「照会」欄から「誕生日」のチェックを外せば、非表示にできる。

 これらFacebook機能が秋頃まで搭載されない理由について、筆者は、おそらく同じく秋頃にリリースされ、Facebook対応を売りにしているiOS 6と足並みを揃えるためではないかと憶測している。その意味では、Mountain Lionは、いくつかiOS 6の機能を先取りしている部分がある。

 例えばVIPメールという機能だ。メールの受信量が多い人は、いちいちメールを数通受信するたびに通知されていたのではわずらわしい。

 そこでMountain Lionでは、この人のメールは見逃したくないという相手をVIPとしてあらかじめ登録でき(Mailアプリの差出人をクリックすることで追加/削除可能)、Mailの環境設定から、このVIPからメールが届いたときだけ通知をするように設定できる。

Mailの環境設定では、VIPとして登録したユーザーからメールが届いたときだけ通知をするように設定できる

 このVIP Mail機能はiOS 6でも搭載される予定だが、VIPの登録作業は画面の大きなMacのほうが圧倒的に有利だ。iOS 6前に、Macでいい具合にVIPリストを調整できるだろう。

 またiOS 6や、その先のiOSに対して期待を持たせる改良もある。例えば「メモ」アプリケーションのMac版は、文字だけでなく画像を貼り付けたり、文字に色をつけたりといった装飾もできるようになっている。現在のiOSでは、貼り付けた図などの情報は無視されてしまうが、いずれはiPhone/iPad上でも見れるようになるのかもしれない。


OS X Mountain Lionとともに迎える大変革

 OS X Mountain Lionは、著しく戦略的なOSだ。

 マイクロソフトは、今年、これまで多くのWindowsユーザーが慣れ親しんだ操作画面からかけ離れたまったく新しい操作環境を採用し、大変革を実行しようとしている。

 一方でアップルは、世界中の多くのiOS機器ユーザーが、すぐに親しめ、なおかつパソコンならではのアドバンテージがちゃんと分かるようにしたOSとして、OS X Mountain Lionを用意した。この大変革の年、はたしてアップルは、戸惑うWindowsユーザー達をうまくMacに取り込めるのか?

 そんな視点でみても、ちょっと楽しみなOSといえそうだ。



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