Samsungの「GALAXY Tab」がAppleの「iPad」のデザインを模倣しているかどうかを審理していた英高等法院は7月9日、デザインの模倣は見られないとする判決を下した。「GALAXY TabはiPadほどクールではない」という判事の見解による。
この訴訟はiPadとGALAXY Tabの外観に関するもの。Appleはアメリカとドイツで、GALAXY TabがiPadのデザインを模倣したとしてSamsungを提訴している。そのうちドイツでは、自社がiPadのデザインについて登録している欧州共同意匠を根拠に主張して、これが認められている。一方、Samsungはイギリスで「GALAXY Tab 10.1」「GALAXY Tab 8.9」「GALAXY Tab 7.7」の3製品はこの欧州共同意匠を侵害していないとの判断を求めた。
欧州共同意匠はEU域内で有効な意匠制度で、イギリスでSamsungに好意的な判断が下ればドイツの判決に影響を与えることができるとの狙いがある。
Colin Birss判事は判決文にて、GALAXY Tabは「正面からみるとAppleのデザインを含む製品ファミリーに属する」としながら、Samsung製品は薄く、背面に変わったディテールがあるなどの違いを記している。そして、「GALAXYにはAppleのデザインが持つ控え目で究極のシンプルさはない。クールではない。製品から受ける全体の印象は異なる」と記している。
SamsungはBloombergに対する声明文で、判決を歓迎するとし、「Appleが今後一般的なデザインを根拠に他の国で法的手段に訴え続けるのであれば、業界のイノベーションは損なわれ、消費者の選択肢が不当に制限される」とコメントしている。Appleは判決に対し上訴できる。
GALAXY Tabについては、7月6日に米国で販売差し止めの仮処分が下りていた。Samsungは差し止め令の延期を求めたが、判事はこれを退けている。
イギリスの高等法院は7月4日、Apple対HTCでAppleの主張を退ける判決を下しており、Appleはイギリスでは黒星続きとなった。ここでAppleは、スライドによるアンロック機能など4件の特許を侵害していると主張していたが、4件の特許のうち、写真管理に関するもの(“フォトギャラリーのページフリップ特許”)のみが有効と認められ、スライドによるアンロック(ロック解除)、マルチ言語対応キーボードなどは無効と判断された。中でもスライドによるアンロックはAppleが対Samsungなど他の訴訟でも主張している特許となる。