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遠藤諭が聞く、激動の時代を生き抜く日本エイサーの戦略

電子レンジ=タブレット、OSはコンテンツショップ?

2012年07月18日 11時00分更新

文● 広田稔、語り●砂流恵介、遠藤諭、写真●小林 伸

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タブレットは「80年代の電子レンジ」と同じ状況

Androidタブレット市場に参入するに当たって、タブレットに何が必要かをエイサーはしっかりと定義したとする

砂流 昨年の日本におけるAndroidタブレットの店頭販売を見ると、実はエイサーがトップシェアを取っています。ICONIA TAB A500が、BCNランキングにおけるタブレット端末の製品別売り上げにおいて1位を取ったこともあります。とはいえまだ30~40代男性で、デジタルに限らずトレンドを追いかけている人が中心なので、そこからもっと広めていきたい。

遠藤 世界に比べると、日本のタブレット市場はもっと伸びる余地があるんだよね。最近だと、iPadの導入事例も増えて、エンタープライズ市場がタブレットに興味を持っているという話もある。

 日本でタブレットが売れてない理由は、やっぱり日本語のアプリやサイトが少ないから。アプリもネットも、英語が中心の世界なんですよね。Wikipediaひとつ取ってみても、日本語と英語ではボリュームが全然違う。

砂流 弊社でもタブレットが何に使えるのか訴えていく点にすごく気を使っています。現在はビューワーという位置づけです。

ICONIA TAB A500。動画やゲームなどビューアーとしての機能に絞り込む一方で低価格化を実現したAndroidタブレットで、日本市場でも好評を博した

 ICONIA TAB A500を発売した当時、他社さんからもAndroidタブレットが発売されていましたが、端末をそのまま日本に持ってきただけで、アプリが標準のままというものも多かった。店頭で試せるのは「Google Earth」だけで、店員さんもお客さんにどう説明していいか分からない状況という。A500は日本市場に合わせてゲームや映像などをプレインストールしておいた点が評価されました。

7インチ液晶搭載のマンガロイドことICONIA TAB A100

「かわいい子にはタブをさせよう。」をキャッチフレーズにしたICONIA TAB A200

 昨年10月に発売した7インチの「ICONIA TAB A100」は、「マンガロイド」という切り口で、「手塚治虫マガジン倶楽部」アプリを入れています。4月に出した「ICONIA TAB A200」は、「かわいい子にはタブをさせよう。」というキャッチコピーが付いた家庭で楽しめるホームタブ。ユーザーがタブレットで何ができるのか、ひと目で認識してもらえるように努力しています。

遠藤 「おいでよ どうぶつの森」でニンテンドーDSを買う層が広がったように、国内でもキラーアプリが出てくれば状況が変わると思うんですけどね。それを誰かがやらなければいけない。スマートフォンは電話だからそもそものニーズがあるけど、タブレットはなくても生活できちゃうから、なおさらね。

他人の受け売りだけど、いまのタブレットは80年代の電子レンジと同じなんだ

 他人の受け売りだけど、今、タブレットが置かれている状況は1980年代の電子レンジと同じなんです。なくても生きていけるけど、価格が下がって、電子レンジならではの使い方が理解されてきたら販売台数が伸びた。その域に行くための方策を業界が考えるべき。

 スマートフォンや7インチのタブレットでいえば、地図がキラーアプリだったのかもしれない。この前、7インチタブレットを持ってインドに行ったんですが、初めてにもかかわらずまったく道に迷わなかった。こんなのって以前は考えられなかった。じゃあ、10インチタブレットのキラーコンテンツは何か?

砂流 10インチについては持ち運ばないというイメージがありましたが、話を聞いてみるとそうでもない例も多いみたいです。例えば、空港などで航空券のEチケットを表示させて、バーコード部分を読み込ませるといった使い方をしている人がいるそうです。チケットは、内蔵のカメラであらかじめ撮影しておいたり、ドキュメントスキャナーなどで読みこんでおきます。当日はタブレットでそれを見せるというわけですね。

 日本エイサーでも、この7月20日にフルHDのタブレットを発売する。特にこだわっているのは音質。ドルビーデジタルプラスを採用していて、iPadに比べても明らかに音がいいため、映像を見るのにはぴったりです。

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