日本語版Siriは、他社と提携して性能を向上させるべし
── 特集1「アップル 春の新製品ラッシュ!!!」では、iPadやApple TV、iOS 5.1の機能を紹介してますね。
吉田 個人的に一番でかいのは、iPadの音声入力とiPhone 4SのSiriかな。Siriは、今回の記事でもまとめたユニークな回答が面白いんだけど、結局、それってすぐに飽きちゃう。「愛してる」という問いへの回答が半年後に増えるのかっていえば、たぶんアップルはこれ以上データベースに手を入れないでしょ? これから精度が高くなって、利用範囲が広がるのに期待です。
── ドコモの「しゃべってコンシェル」のほうが優秀って意見もあります。
吉田 正直、Siriは日本国内の地図が検索できなかったりと、まだ追い抜けてない部分はあるからね。グーグルの音声検索も精度が高い。でも、Siriはまだβですし、これから伸びるでしょう。
── 日本語音声認識だと、アドバンスト・メディアの「AmiVoice」とか、すでにいいソリューションが出てますしね。Siriの音声認識エンジンの開発元とされるNuance Communications(関連記事)も、Windows用ソフト「Dragon NaturallySpeaking」で定評があります。
吉田 割と成熟してるんだよね。俺は滑舌がよくない方だけど、けっこう認識してくれる。でも、日本語版Siriの場合は、応答するデータベースがまだ不十分。それを既存のサービスに頼らず、自分たちだけで作り上げるのは結構大変だよね。英語版SiriがそもそもWolfram Researchの質問応答システム「Wolfram Alpha」(関連記事)を採用しているわけだし、日本語でも優秀なところと組んで精度を上げていけばいいのに。
── 確かに。
吉田 あと、検証しているときに驚いたのが、何度か話しかけて認識できないことがあったときに「使えねぇなぁ」と言うと、Siriが謝ってくれること。
── それはOS Xにも入れたほうがいいですよ。今って、例えばアプリが止まっているのに、メッセージ内容は「応答なし」程度とか、そっけないじゃないですか。
吉田 そういう要素が入ってくると、よりインテリジェントな印象を受けるようになるかもね。常に声で操作する状態は考えにくいけど、例えば、外出直前にiMacのところまで行って「iCal」を立ち上げるのは面倒だから、「スケジュールを見せて」って声に反応して表示してくれるとかね。iMacは画面が大きいから、少し離れていても見えるでしょ。
── 画面の大きさでいうと、テレビやApple TVが同じように声で操作できてもいいという。
吉田 そういう新要素が入ってきたら、新製品がほしくなるよね。キーボードが使えない人でも「アップルのウェブサイトが見たい」とか「グーグルで〇〇を検索してほしい」と話しかけるだけで動くならすごくいい。アップルはiOSだけでなく、OS Xも開発している会社なので、「Back to the Mac」でSiriがそのまま載ってくれば相当強力になるかな。