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新データベース「InfoFrame Relational Store」販売開始

SQLもOK!ビッグデータ向けのNewSQL DBをNECが投入

2012年02月14日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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2月13日、NECはビッグデータ活用に最適な新しいデータベース「InfoFrame Relational Store」の発売を開始した。ビッグデータでの利用に最適なKey Value Store(KVS)の拡張性を確保しつつ、SQLをサポートし、既存のRDB(Relational DataBase)のように使えるのが特徴だ。

ビッグデータをサポートする体制と製品を強化

 発表会において、NEC執行役員常務の山元正人氏は、まず同社のビッグデータ戦略について解説した。山元氏は、ビッグデータ分野において差別化を図れる技術や製品として、データ収集におけるセンサー技術やM2M(Machine to Machine)基盤「CONNEXIVE」、指紋や顔認証、イメージなどの非構造データ解析、InfoFrameブランドで展開されている各種データベース、ログ解析製品などを挙げた。これらは製品や技術として分散していたが、今後は、ビッグデータのソリューションとして提供すると説明。事業の拡大を進めるため、全社横断のビッグデータ戦略プロジェクトを発足させたほか、ビッグデータの課題となっている専門の人材についても育成を進めると説明した。

NEC執行役員常務の山元正人氏

ビッグデータに対するデータ処理製品群

 ビッグデータの目的の1つとなるBIやデータウェアハウスの市場が必ずしも伸びていないという指摘に関して山元氏は、「この市場はほとんどタッチされていないと考えている。いろいろな場面で大量のデータを活用したいという声を聞いている」とのことで、未開拓の市場であるという認識を示した。また、現状ビッグデータに必要な要素はすべて埋められているわけではなく、足りない部分はパートナーとの協業によって補うと説明した。

高速なトランザクション処理に特徴あり

 続いて登壇したNEC 第三ITソフトウェア事業部長 伊藤晃徳氏は、新製品の「InfoFrame Relational Store」について解説した。伊藤氏は、まず既存のRDBやKVSの限界を指摘。業務アプリケーションで用いられているRDBは、大容量データやアクセス数などの増加に対して、十分に拡張できないという弱点を持つ。これに対してNoSQLやKVSと呼ばれる最新のデータ処理技術では、ビッグデータといわれる大容量データや大量アクセスなどへの対応が可能なのに対して、いくつかの課題があるという。伊藤氏は、「KVSは複数のインターフェイスがあり、開発も難しい。また、ミッションクリティカル領域での利用に不安がある」と指摘した。

NEC 第三ITソフトウェア事業部長の伊藤晃徳氏

ビッグデータ時代のデータベースとは?

 これに対して、InfoFrame Relational Storeは、SQL互換でありながら、数ペタバイトまでリニアに拡大できるスケーラビリティを確保した「NewSQL」と呼ばれるジャンルのデータベース。スモールスタート可能なのが大きな特徴で、初期導入コストは既存のデータベースの半分で済む(NEC試算)という。「既存のRDBの場合、大容量のメモリや高速なCPUを持った大型サーバーが必要だったが、InfoFrame Relational Storeでは小型サーバーの組み合わせからスタートできる。ほとんどのケースで、初期コストを大きく下げることが可能だ」(伊藤氏)。いったん物理/論理設計や導入作業、評価などを済ませてしまえば、あとは必要に応じてサーバーを増加させることで、スケールアウトが可能になる。そのため、拡張も短期間で行なえる。

 また、SQL89標準規格に対応しているため、既存のアプリケーション資産を有効活用できるとのこと。実際、BIGLOBEの画像管理サービスでは、既存のRDBをInfoFrame Relational Storeに置き換えることで、プログラムを99%流用できたという。

ほとんどのケースでは、サーバーだけを追加すればよい

高速なトランザクションを実現するマイクロシャーディング

 技術的な特徴としては、高速なトランザクション処理をメモリ内で実現する「マイクロシャーディング」が挙げられる。既存のKVSではトランザクション処理に大きな課題を抱えているが、InfoFrame Relational Storeではメモリ内にトランザクション内で更新されたデータをログとして保存し、実データに対して非同期に反映させる。「KVSで2箇所を同時に動かすのはきわめて難しい。InfoFrame Relational Storeではトランザクション単位でマイクロシャードというログを用いる」(伊藤氏)という。日米で特許出願の技術で、他社に対する差別化ポイントとしても大きい話す。

 InfoFrame Relational Storeの価格は最小構成で510万円(税抜)となっており、出荷は4月上旬を予定している。

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